2021年02月28日

【映画】 海辺の映画館ーキネマの玉手箱 2020年



“ねぇ、映画で僕らの未来変えて見ようよ――”

−大林宣彦監督人生最後のレトリック





大林宣彦監督は、
この映画に自分を塗り込めて、
自分の想いが永遠に伝えられるようにしたのだ。
まるで、羽臼屋敷のおばちゃまのように。





未来を変えることができるのは、
映画だけということではないはず。

あえて「映画」に拘っているのは、
世の中の行く末だけでなく、
「映画」の未来にも
悲観的な予測を持っていることの裏返し。

また、
自分の「想い」が消えてしまうという恐れを心のうちに持っていたのでは。


私は、
「物語の命は永遠」
だと監督の映画から教わったことを
いつまでも忘れずにいたい。





呟きの記録


















大林宣彦監督作品の感想
 http://inatt.tokyo/article/462052806.html




20230116追記

高橋幸宏さんが、2023年1月11日にお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。

天国で大林監督も「早すぎる」と驚いているだろう。

IMDb
 https://www.imdb.com/name/nm0847217/




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2021年02月22日

【TV】 球辞苑 ( 文化として定着しているスポーツ )


  
NHKBS1の番組。
プロ野球を題材に、こんな狭い話題でと思いながら、1時間楽しめる。

私は、プロ野球や高校野球を観ながら育った世代ですが、
実は、今は、試合の中継にチャンネルをあわせないし、
スポーツニュースですら観ていません。

だから、最近登場してきた新鋭の選手を全然知らないのですが、
それでも、取り上げられる内容は、とても面白く感じるのです。

子どもの頃から、見聞きしてきた、
試合観戦、スポーツニュース、マンガ・アニメの物語の蓄積により
この番組の内容を面白く感じる素養を
知らず知らずに身につけているようなのです。

そういう視聴者がたくさんいることを前提に、
前に、ディープピープルという30分番組をNHKでやっていましたが、
実は、テーマをプロ野球限定にしても、1時間番組をいくつでも作ることができるのでした。


そして、選手にインタビューするにしても、
王貞治には、
ホームランの打ち方じゃなく、
一塁守備について尋ねにいく・笑。


かつて、なでしこジャパンの宮間あや選手が、女子サッカー人気について、
「これをブームではなく文化になっていけるように」と語った(*)が、
日本では、まさしく、野球は文化になっている、
ということをこの番組で感じます。

( ひとつのスポーツがその国の文化のひとつと感じられるまでに、
  1917年生まれの沢村栄治から1994年生まれの大谷翔平まで、
  とてつもなく長い年月が必要であるようです。 )


あと、

プロ野球選手自身がこの番組をよく観ているという話がよく出ますが、
本物のプロが自ら観たいと思う番組っていうのは、
この番組が他の類を見ないものであることを示しています。

世の中に星の数ほどの、ノウハウものやプロの技紹介ものがあろうとも、
1時間やそこらの番組で、
本物のプロがなるほどという内容が含まれるものはないと思います。
最高級の料理人が、テレビの料理番組で、なるほどと感心するなんて、変ですよね。

どんなジャンルであれ、本当のプロならそうだと思います。

誰しも、自分がとても詳しく知ることについて、
あらためてテレビ番組から教わることなどめったにないと思いませんか。

最もマスな対象に向け制作するテレビ番組の特性ともいえます。

ところが、この番組は、
プロがなるほどを思わせるものを内容としているし、
一般の視聴者もそれを観て、内容を理解し、楽しむことができる、
稀有なものとなっています。

番組の制作者の素晴らしさと
日本において野球というスポーツがいかに社会に浸透しているかを思います。

もちろん、
10年後20年後に、
世の中の人の野球というスポーツへの理解度が変わってしまう、
ということもあると思います。





(*)「応援したくなる文化に 宮間あや」
    日本経済新聞電子版 20191008

 若い頃から今に至るまで、
 宮間選手が女子サッカーと文化について
 長く考えてきたことが語られています。

 素晴らしい文章で、
 多くの人の目に触れてほしいと思っています。

 ( 日本サッカーの坂の上の雲
    http://inatt.tokyo/article/463339262.html )





20220312放送「打撃投手」

ベイスターズや巨人でバッティングピッチャーをしていた
白井正勝氏の話が

たいへんに深みを感じる興味深いものでした。


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2021年02月13日

【ドラマ】 西遊記 1978年



1978年に放送された、堺正章が孫悟空を演じるドラマ

三蔵法師を女性が演じる形を浸透、定着させた。

当初、坂東玉三郎に三蔵法師をオファーして実現しなかったと聞いたことがあります。


今でも、
ゴダイゴのTHANK YOU, BABYを聴くと、せつない、懐かしい気持ちになるのは、

このドラマをとても楽しんで観た記憶の仕業だと思います。


サンキュー・ベイビー - ゴダイゴ
[iTunes]サンキュー・ベイビー - ゴダイゴ









20061107記
 
堺正章の西遊記(78年10月〜)がDVDになりました。

香取慎吾の西遊記(2006年)のときに、
昔の西遊記のほうが豪華で面白かったとよく言われていました。

私も両方とも観ていますが、
昔のほうは記憶も不確かですので、
実際どういうものか興味がありました。

何度も再放送をしていましたが、
DVDになったのは初めてなので、
実際に両方を並べて観た人は少ないのでは?

と、いうことで、3話まで観てみましたが、

香取慎吾の西遊記について、
wikipediaで、

初回の視聴率は大変高かったが、1978年の『西遊記(堺正章主演)』を観た世代からは毎回のストーリー展開が非常にテンポが悪く、アクションドラマであることを売りにしながらアクションシーンを大幅に省いたため、爽快感にも欠けると不評で視聴率は回を追うごとに下がっていき、セットが「まるでドリフのコントのように子供騙しだ」と製作予算の低さを揶揄したような意見は多く、映画化に疑問を持つものも多い。


と記載しているときがありました。

香取慎吾の西遊記は、スマスマのコントみたいだ、
と思ったことはありますが、
それが悪いこととは思いませんし、

1978年版がものすごく素晴らしいというものではないと思います。
子供の頃観たものを美化して記憶している故の感想でしょう。

2006年版よりセットが豪華ということもありませんし、

一行が全員揃うまで3話使っていますから、
お話のテンポも今のドラマよりゆっくりだと思います。

その中では、
三蔵法師(夏目雅子)の表情、特に微笑みは今観ても相当に魅力的でした。

3話で、見えなくなった悟空の目を
三蔵が口づけをして治すというのがありました。
女優が三蔵を演じるということを
最大限活用した演出でした。

特典映像もなかなか楽しいものでした。








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2021年02月09日

コラーゲンで、翌朝お肌プルプル



20081123記
 
2008年10月30日の日経新聞夕刊一面の
コラム「あすへの話題」で、
分子生物学者の福岡信一氏が
以下のように述べています。


 コラーゲンはタンパク質である。
 〜
 しかし、私たちが食品として摂取したコラーゲンは
 動物や魚由来のものであり、
 消化管内で分解されてアミノ酸となる。
 〜
 少なくともいえることは、
 他者のコラーゲンがまるごと消化管を通り抜け、
 細胞間や関節に届いて、
 その場所に補給されることは全く「ありえない」」

と、きっぱりと断言しています。

また、
表題のような言い方をよく見聞きしますが、
それは、
プラセボ効果(偽薬効果)」であると、
福岡氏は示唆しています。


福岡氏は、
コラーゲンの共同幻想に皮肉な意見を表明していますが、
私は、
正式な薬にも
ある程度のプラセボ効果が内包することを考えれば、
プラセボ効果がとても高ければ、
それに経済的価値がつくことも、
生物学でなく、経済学として、
意味のあることかもしれないと思いました。

それでも、またそれだからこそ、
鶏の水炊きか、すっぽん料理か、
コラーゲンをたっぷりとった食事をとって、
自分自身の身体と感覚で、
実験してみたいものだと思いました。




20210209追記

NHKのあさイチで、以下のような内容が放送されていました。

城西大学薬学部真野博教授

・コラーゲンは自分の体の中でがんばって作るもの
・鶏肉などに含まれるコラーゲンを食べると分解され、
 皮膚や骨の細胞にコラーゲンを作って、と信号を送る。
・活性型コラーゲンペプチドが皮膚や骨の細胞にいき、
 コラーゲンを作ってという指令を出し、
 細胞がアミノ酸からコラーゲンを作る。
・コラーゲンは分解されにくいので、
 鶏肉をキウイをすったものなどにつけるとよい。


いろんなお話があるんだなあと思いました。


活性型コラーゲンペプチドとは



posted by inatt at 17:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【ドラマ】 グッド・ファイト The Good Fight / グッド・ファイト2



20200105記

2011年にERが最終回を迎え、グッド・ワイフを途中でリタイアして、
長らく、海外連続ドラマを観ていませんでした。

このドラマは、地上波CBSでなく、有料サービスで配信されたそうです。






20200308記

第1シーズンの最終回を観ました。

実は、第1回を観たあと、
物語の先が知りたくて、
Amazon prime で、
全話、観てしまったのです・笑

お話はとても面白かったですけど、
私がアメリカのドラマを観なくなったわけが、
わかったような気になりました。

世の中のいろんなことを
ソフィスティケートに描きつつも、
その目的は、
刺激的なエピソードを
観る人が消費していくこと、
その先には、
何も残るものがないように思うのです。

( でも、
  感謝祭クリスマスに、
  特別なエピソードを入れてくる、
  三大ネットワークの連続ドラマも
  −視聴者数のためとはいえ−
  いいですよね。
  子供の頃の子供向け連続ドラマも、
  夏休みやクリスマスやお正月に
  そういうエピソードが入っていたものです )

NHKで最終話を観たのは、
続編の放送があるかどうか知りたかったからですが、
案の定、
先が観たくなるようなクリフハンガーを放置して終了しました・笑。

今回、
アメリカの連続ドラマが、
動画配信サービスと相性がよく、
NHKと相性が悪いと、
理解しました。








20201228追記

米大統領選挙でトランプが負けたこのタイミングで、

NHKでセカンドシーズンの放送が始まっています。

とりあえず思うのは、

この物語の弁護士たちが、

もっともテンション高く快哉を叫ぶのは、

多額の賠償金や和解金を獲得したとき。

「そういうとこやぞ、君たち」

( そういうとこは、
  トランプも
  君たちも
  きっと同じだよ )

と感じます・笑

また、
黒人弁護士が主の法律事務所が、
警官の黒人に対する暴行の訴訟を主力案件としていて、
他事務所がそれを奪おうとしてきたところを
反撃するあたり、
訴訟だけでは社会の問題は減ることなく、
経済が回るドライブでしかない、
との感想も持ちました。

かつてのERのように
当シリーズがNHK総合で断続的に放送される予定になっているのかどうか、
確かにはわかりませんが、
現実でトランプ大統領が敗北したため、
第4シリーズのNHK放送はあるのか、
どのようにシリーズが終わるのか、
興味はありますが、

そもそも、
この番組は、
いわゆる三大ネットワークでは使わない用語の台詞も登場するという、
配信前提に制作されたドラマであり、

NHK総合で放送するにはいかがなものか、

という思いも頭をかすめないこともないです。

いや、日本では、
現実の政権の横暴やそれに対する反抗を
モチーフにするドラマの制作は想像できないので、
あえてこれをNHK総合で放送することには意義があるのかも。

配信だけでは、私はおそらくこの番組を観ないでしょうし、
内容を理解するために、
NHKの解説コラムがとても勉強になっていることも確かです。
https://www9.nhk.or.jp/kaigai/goodfight2/column/column_9.html

また、シーズン1を観たころと比べて、
コロナの1年を経て、
日本の社会・政治状況もなかなかに大変なので、
自分の考えも変わってきているところがあります。

アメリカではそんなことが起こっているんだ、
ということが、
これから日本で起こっても不思議でないことを
ふまえて観たほうがよいのでは、という感覚です。




20210209期

第2シーズンの最終回を観ました。

グッドワイフと同じ感想を持ちました。

・やられたら、やり返す

・やられる前に、やる

このあたり、銃が必要なアメリカ社会のことを思い浮かべたりしました。

また、エイドリアンは、

民主党に対してやりかえすのか、どうか。


このあとについては、NHKで放送されれば、観ると思います。







グッド・ワイフの感想
 http://inatt.tokyo/article/398822424.html


imdb
 https://www.imdb.com/title/tt5853176/



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2021年02月07日

【ドラマ】 麒麟がくる 2020年



「麒麟がくる」と信じたい人々が一所懸命生きていく話をもっとたくさん観たかった。




本能寺の変の原因の諸説を全部集めたが、
落としどころや焦点を定めないまま、
始まり終わった大河ドラマ。

結果、
光秀・信長以外の人物皆に、
「私のせいじゃないですもん」みたいな、
無関係、無責任感が醸されてしまってた。
それはドラマとしては、大問題。

麒麟が来る気配は全くなく、
光秀、義昭を見てきた駒にとっては、
絶望的な無常を感じるべき顛末だったと思う。

駒は、大大名と大商人の茶会のついでに、
丸薬を売るただの商人になった。

当初、東庵と駒は、
戦乱に傷ついた庶民を
無償で治療する人であったのだが。

そして、
将軍は瀬戸内で鯛を釣り、
天皇は博打好きの医者と
以前は碁であったが、
今は、
賽に行方を任せる双六に興じている。

これらが意図した皮肉でないのなら、
このドラマは何が言いたかったのか。

まさしく、
「麒麟がこない」お話だった。

あるいは、
作者は、天海明智光秀説に希望を描きたかったが、
時代考証の先生の賛同を得られなかったのかもしれない。

(天海を演じる気満々な長谷川博己さん、
 ドラマのラストより、
 こちらのコメントのほうが胸にきた)


「僕は、
最後は明智光秀は生き延びたんだと信じたいです。
こんな今の世の中ですけれども、
本当に、現実の世界でも麒麟がくるように願って、
念を入れるつもりで、
ずっと演じていました。
その願いがきっと届いたと思います。
もしも、この先が気になるようでしたら、
ぜひ、皆さまからのコメントをいただきまして、
なにか番外編で、またお会いできれたらうれしいなと思います。
このあと、どうやって光秀は江戸幕府を作ったのか、
それができたら、僕も幸せです。
どうもありがとうございました。」






信長の描き方はとても興味深いものでした。

前半の物語だと、
信長を育てたのは、帰蝶だと思いますけど。

( だから、帰蝶は途中で亡くなるのではないか、と予想していました。 )

さすがに天下統一直前まで成し遂げた歴史上の人物にしては、
子供っぽすぎる感じがしていました。

信長と光秀の関係だけみるとドラマとして見応えがあったとしても、

本能寺や山崎で負けて、巻き込まれる人たちや、
武士の争いに右往左往させられる庶民からみると、
たまったものではないのでは・笑。

せめて、信長および光秀が、
領民から喜ばれる治世を実現させている描写があればよかったと思います。



このような人が麒麟をつれてくるかというと、ちょっと違うような・笑




 
第1回から、
オープニングタイトルのキャスト等を表示する字体が
なんだかのっぺりしているなと気になっているのです・笑


誰かが、麒麟であり、
その人が世を平らかにするのか、

誰かが世を平らかにすると、
そこに麒麟が来るのか。





あとで書き足すためのメモ

・道三、光秀、信長の大きな国の意味

・信長が光秀を信頼する根拠(帰蝶の話だけ?)

・親に認めてもらえなかった子ども(信長)

・光秀が義昭を討つことは拒否し、主君は討つ、考え方の背景

・光秀と信長の関係性はドラマのなかでは、命のやりとりをするほどのものに見えなかった

・語りの海老蔵さんが空気だったのはなぜか




■第十八回


このあと、
どんな風に描かれるのか楽しみな出来事が山盛りで、
この調子で、
本能寺までたどりつけるのかしらんと気をもんでいます・笑。

・今までに見たことのない信長になるのではないか。

・濃姫は本能寺にいるのかどうか。

・駒の活躍がポイントだと思う。


■第二十一回

第二十一回で桶狭間、1560年まで話が進みました。
全44話と発表されていますので、あと23回。
その後の歴史を予習しました。
濃いなあ・笑。

義昭が信長を頼った頃から、
本能寺まで約14年ほどでしかない。

サラリーマンなら、
課長から部長を経て役員になるくらいの年月。

戦に明け暮れる10年20年30年って、
戦国時代に生きるっていうのは
大変なことだ。

織田軍団に所属するってのは、
同時代世界一ハードな職場かも。

日本を平らかにするのに邁進した、
信長と秀吉のモチベーションはなんだったのか、
素朴に知りたくなりました。

1560
桶狭間の戦い
1565
足利義輝死去
1567
稲葉山落城
1568
信長上洛開始
1570
姉川の戦い
1571
比叡山焼き討ち
1572
三方ヶ原の戦い
1573
義昭京都追放
1575
長篠の戦
1576
明智軍・黒井城敗北
石山本願寺との戦いで明智光秀倒れる
明智煕子死去
1577
松永久秀死去
1578
荒木村重討伐
1579
丹波平定
1581
京都御馬揃え
御ツマキ死去
1582
武田氏滅亡
家康饗応
本能寺の変


■第三十三回

正親町天皇(坂東玉三郎)や摂津晴門(片岡鶴太郎)など、
今までの戦国大河ではあまり登場しなかった人物により、
物語の展開を新鮮に感じています。

ひとつ疑問があるのは、
家臣になることを断ったのに、
ずっと信長軍に帯同しているような
今の光秀の立ち位置。

歴史事実では、翌年には坂本城を築城していて、
5年やそこらで、
強烈な出世をしているわけで、
猛烈なハードワークと
生え抜きからみても文句のない実績あってこそですから、
中途半端な立ち位置では
難しかろうと思います。

光秀というのは歴史的事実からみても、
やはり不思議な人物ですね。

( 藤吉郎は、
  中小企業に中途入社した社員が
  15〜20年かけて、
  企業が大成長するのにあわせ、
  役員までのしあがったと考えれば、
  そこまでは、ままあることのように感じる。
  社長が急逝した混乱のなかで、
  会社を乗っ取ったというのも
  ない話ではないか・笑 )



■第三十五回「義昭、まよいの中で」

この物語で、個人的に腹に落ちたのは、
戦国期の茶の湯の位置づけ。
交流の場、外交の場、情報発信メディア、
そして、謀略、謀殺の場ともなる。

子分や武器を傍らに置かず、
一対一で対峙する。
それで物事が決着できるなら、
非常にコストが小さく、
( 高価な茶器も大量の鉄砲よりは )
双方に効率的だから、
活用されたのだなと思いました。


■第三十六回「訣別」

足利将軍も運命に翻弄されるひとりの人間、
と感じさせる、
いつも目が赤く潤んでる、
滝藤賢一さんの
今まで観たことない、足利義昭が好かった。


■第四十回



番組ホームページに掲載された脚本家池端俊策氏のインタビューでは、

・「平蜘蛛」の意味は「それを持つ者は誇りを失わぬ者、志高き者、心美しき者」で
 松永がそれを光秀に渡すことにこめた2つのメッセージは、
 「光秀、お前が麒麟を呼ぶんだよ」
 「信長とは縁を切りなさい」
・光秀が心理的に変わっていく、信長や義昭を支える2番手の立場から自身が自立する転換点を、平蜘蛛を使って松永が仕掛けた
・比叡山の焼き討ちでは女、子どもまでも殺し、三淵も腹を斬らされて、身内さえも殺していく。それを目の当たりにした光秀
・松永も自身の死をもって光秀を試している。「信長にウソをつけよ、ここで平蜘蛛を渡したら、お前は一生2番手のままで終わるぞ」と。光秀はその意をくんでいるから、ウソをつく。きっと光秀と松永は気持ちが通じ合っていたのだと思います

とありました。

私自身は、

この時代の茶器の名器は、
(現代の外車とかタワーマンションのような、)
権力や金を持っている者が執着しているもので、
麒麟を呼ぶ人にふさわしいものという感じがあまりせず、

一方、(帝を診ている東庵でなく、)
薬を民に配る、
(直接でなく、寺社経由なのも興味深いですが、)
駒の位置づけが気になります。

池端氏は、

・もし自分(光秀)が政権を取ることになれば、帝がそれを許されるかどうかの心証を得たかったのではないか

とも言っていましたが、

これまでの光秀からは、
自分が世を治めるような考えをあまり感じていません。

この物語のゴールが本能寺と思っているからでもありますが、

信長も光秀も、
上っていく一方で、帰蝶や熙子を失い、
孤独感が増していっています。




20200621記

「麒麟が来るまでお待ちください 戦国大河ドラマ名場面スペシャル 国盗物語」
を観ました。

私にとって、「国盗り物語」は、
初めての司馬遼太郎で、
初めての大河ドラマです。

だから、特に、
私の元々思う明智光秀の性格・特性はこの作品で作られたものです。
「麒麟が来る」で
それとは異なるどのような物語を観ることができるのか、
楽しみです。



20200726 「謀反に関する大切なお知らせ」






三職推任問題






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2021年02月03日

【映画】 裏窓 Rear Window 1954年 (書きかけ)



20210203記

BSプレミアムで放送されていたので、
久しぶりに観ました。

https://www.imdb.com/title/tt0047396/

私にとって、一番最初のヒッチコックで、
40年近く昔、名画座で観ました。

この作品が、初ヒッチなんて、
素敵な巡り合わせですが、

そのとき、私は、
「すごくよくできた火曜サスペンス劇場みたいだ」
という感想を持ったのをよく覚えています。

未熟な自分が恥ずかしい、ヒッチコックに謝れ・笑

・説明台詞など一切ない、すべては映像で語る
・登場した瞬間に素晴らしいグレースケリー
  美しく、賢く、健気で、勇敢。(煙草も嗜む)
・若いセレブの無邪気な行いに、ふっと笑う大人なジェフ
・"Perfect"と言われて、哀しい表情になるリザ





今回観ていて、
三谷幸喜がリメイクして、
登場人物が三谷作品常連俳優たちだったら、
とても面白そうだと思いました。

その物語では、
緊急事態宣言で、
皆、ステイホームしてるんだな・笑

ヒッチコックに謝れ・再

しかし、懲りずに、
どんどん書き込んでいく欄をつくろうと思ったのが、
このエントリーの目的です・笑

James Stewart(役所広司、中井貴一、大泉洋)L.B. 'Jeff' Jefferies
Grace Kelly(鈴木京香、綾瀬はるか)Lisa Carol Fremont
Wendell Corey(佐藤浩市、山本耕史)Det. Lt. Thomas J. Doyle(警部補)
Thelma Ritter(戸田恵子、長野里美)Stella(家政婦)
Raymond Burr(小日向文世、相島一之)Lars Thorwald(貴金属のセールスマン)
Judith Evelyn(堀内敬子、宮澤エマ) Miss Lonelyhearts
Ross Bagdasarian(小林隆、伊藤俊人)Songwriter(作曲家)
Georgine Darcy(小池栄子、宮澤エマ)Miss Torso(ダンサー)
Sara Berner(峯村リエ)Woman on Fire Escape
Frank Cady(浅野和之)Man on Fire Escape
Jesslyn Fax( ) Miss Hearing Aid
Rand Harper(香取慎吾)Newlywed
Irene Winston(竹内結子、八木亜希子)Mrs. Emma Thorwald
Havis Davenport( )Newlywed
Alfred Hitchcock(三谷幸喜)Songwriter's Clock-Winder (uncredited)


20210708追記

朝ドラ「おちょやん」で栗子さんに魅せられて、

Miss Lonelyhearts に宮澤エマを追加・笑













The abyss gazes also into you.


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2021年02月02日

大林宣彦監督映画の感想



「人の命には 限りがあるが、物語の命は永遠だろう」






( Wiki  )
( IMDb )

【監督作品】

絵の中の少女 1960年
 若き日の大林宣彦の風貌
 後に弾き直し入れ直したピアノ伴奏が相当に饒舌な(うるさい・笑)件

喰べた人 1963年 (共同演出・撮影)
 口から目ん玉
 岸田森はやはり特別な存在感があると思う

EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ 1966年

 死んだ人たちはどこにいる
 旅に出かけておりまする

 人はいつまでも、夢の中にいるわけには、いかないのだ
ロジェ・バディム

 つんつるてんの着物
 飛び跳ねる少女

ハウス HOUSE 1977年
 Cherries were made for eating.
 http://inatt.tokyo/article/398821810.html 

瞳の中の訪問者 1977年
 ハウスの公開が1977年7月30日で、この作品は1977年11月26日公開

ねらわれた学園 1981年
 薬師丸ひろ子が大林映画にハマらない理由というのは興味深いテーマ、
 彼女がまだキャリアの浅い頃から自我のあるキャラクターだったからではないか。

(大林監督は俳優をコマのように材料として扱う。
 たとえば、
 植木等はそういうものだと心得ているし、
 三浦友和はそういうことが次第に嫌になったのでは?)

 高校を西新宿のど真ん中に置くのは80年代っぽい。

 (「セーラー服と機関銃」では、
  それとは違う「新宿」を、
  主人公が赤いハイヒールを履いて闊歩する)

転校生 1982年
 自由で幸福な映画作りは永遠にフィルムに焼き付いている
 http://inatt.tokyo/article/398821627.html  

時をかける少女 1983年
 深町君への想いを胸に秘め、ゴロちゃんを忘れて空ろなこの世に彷徨い続ける和子
 http://inatt.tokyo/article/398821629.html

廃市 1984年
 個人の趣味が最も素直に現れた作品。
 制作費のせいでもあろうが、
 ナレーションも音楽も監督自身が担当している。

さびしんぼう 1985年
 そんな光景を皆さんはなんとお考えになるだろうか
 http://inatt.tokyo/article/398821762.html
 
漂流教室 1987年
  もう会えない人たちのことを語り合う
 http://inatt.tokyo/article/431511222.html

異人たちとの夏 1988年
 てめえでてめえを大事にしなくて、誰が大事にするもんか
 http://inatt.tokyo/article/398821197.html 

ふたり 1991年
 饒舌な監督はそれでもあえて語る気がないことをたくさん抱えている
 http://inatt.tokyo/article/398821210.html

理由 2004年
 http://inatt.tokyo/article/398821630.html  

転校生-さよなら あなた- 2007年
 人の命には 限りがあるが、物語の命は永遠だろう
 http://inatt.tokyo/article/448836200.html

この空の花 長岡花火物語 2012年
 長岡花火は、とても綺麗だと毎年思うのですが、
 この映画を観ているので、
 他の花火大会の花火とはどこか違って見えるところがあります。

花筐/HANAGATAMI 2017年
 さあ、君は飛べるか、僕は...
 http://inatt.tokyo/article/476768897.html

海辺の映画館ーキネマの玉手箱 2020年
 映画に自分を塗り込めた。羽臼屋敷のおばちゃまのように
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【TV出演など】

私のこだわり人物伝 植木等 世の中スイスイ無責任 第一回「引き」の喜劇人 2007年
 日本人全員が、「無責任日本人」になろうとしていた時代なんですよ
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新宿ミラノ座の閉鎖(2014) 荒野の七人と時をかける少女 2014年
 タイムリープしていたとしても当劇場は責任を負いかねます
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青春は戦争の消耗品ではない 映画作家 大林宣彦の遺言 2017年
 作家の真実は映画を観て感じるしかない
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目撃!にっぽん「それでも僕は映画を撮る〜監督・大林宣彦 80歳の決意〜」
 君たちは俺の未来だから、がんばれよ
 http://inatt.tokyo/article/462051557.html

クローズアップ現代 「大林宣彦監督 生きる覚悟」
 表現で過去は変えられないが、
 未来を変える力はあるんじゃないか。
 http://inatt.tokyo/article/474660109.html

映画で未来を変えようよ〜大林宣彦から4人の監督へのメッセージ〜
 カタルシスだけは絶対に描かないと、これが実はね、戦争映画を作ることの一番大事な点なんです。
 http://inatt.tokyo/article/478738063.html

大林宣彦、全自作を語る
 http://inatt.tokyo/article/478327615.html





大林宣彦監督追悼
 http://inatt.tokyo/article/474517318.html

IMDb
Nobuhiko Ôbayashi
https://www.imdb.com/name/nm0643171/





【論点】(書きかけ)

・「映像の魔術師」ではなく、「言葉の魔術師」

・1960年〜1963年頃の暮らし

・福永武彦に心酔する文学少年と自己プロデュースに長けた業界人

・企業の資金をふんだんに使い、広告を大量生産していた時代

・冒頭に映写機が回る音がする

  時をかける少女、さびしんぼう、花筐

・大林監督自身がナレーションを入れている

  廃市

・幽霊映画、化け猫映画

  ハウス、理由、この空の花、野のなななのか、海辺の映画館

・吸血鬼映画・生の象徴

  墓から血(形見)
  女性から血がたらり

・男はフラれる(あえていうと、尾美としのりはふられる・笑)

  時をかける少女( 吾朗、深町も )
  ふたり( 神永 )

・肝心なときに行動しなかった男

 時をかける少女、花筐

・お墓

 形見、EMOTION、転校生-さよなら あなた-、花筐

・白塗りの日本兵の行進

・キノコ雲・キノコ雲を見る子ども

 恋人よわれに帰れ

・エンディングがブギウギ

 野ゆき山ゆき海べゆき、海辺の映画館

・何故懐かしいと感じるのか

 尾道の風景(転校生)
 下町の両親(異人たちとの夏)

・死の気配

 青春〜の先生

・止まっている時計

 廃市、野のなななのか

・撮影、画面作りの変遷

 長野転校生の斜めに傾いた画面

・ブルーバック

 ハウスのときから、現実の背景を使おうとしていない

 晩年は、撮影場所が特定できると聖地化する現象を避けていたのか、どうか。

・作り物の背景

 嘘だとすぐに分かっても物語中の必然と受け入れることができたり、できなかったり。

 夏休みの旅行に出かける朝の青空と東京駅(ハウス)
  いつまでたっても、この東京駅が一番好きなターミナル駅だ・笑

 少女の部屋の外の景色(ねらわれた学園)
 
 浅草ビューホテルと花やしきが同じ方向に見える(異人たちとの夏)

 インターナショナルスクールの背景の山の手の家並み(漂流教室)


・リアルな背景


・曖昧な結末

 さびしんぼう

 彼のオートバイ、彼女の島(カラーの現実、モノクロの現実)

・ミュージックビデオ

 1970年代だったのでCMディレクターになったが、
 10年遅く生まれていたら、
 1980年代にミュージックビデオディレクターになったのかも。

 「HOUSE ハウス」のCHERRIES WERE MADE FOR EATING
 「ねらわれた学園」「漂流教室」のオープニングクレジット
 「時をかける少女」のエンドクレジット

 この部分に特に都会的な優れた感覚があったと思うが、
 それが一番やりたい好きなことではなかったようだ。


・あえて語らないこと

 実家との関係

 任侠の世界
  推測だけど、尾道にはその筋の方がたくさんいたのでは。
  尾道は夢の町ではない

・自己模倣を避ける、変わろうとする

 廃市が、
 やりたかったことを素直に表現できたものなのかもと
 思うときがある。

 同じ場所をくるくる回るように、
 同じような作品を繰り返し作り、
 自己模倣を続ける作家もたくさんいるかもしれないが、

 そうはならなかった。 


・「映画はウソから出た真(マコト)」

 大逆事件で死刑となった大石誠之助は、収監中に、
 面会にきた堺利彦に、
 「今度の事件は嘘から出た真(まこと)である。」と語った。
 (「道頓堀の雨に別れて以来なり」田辺聖子)

 監督が「だから、映画のウソのほうが〜」と言うかもしれない、現実の恐ろしさ。





20210130にNHK総合で1980年の山口百恵のファイナルコンサートが放送された。



興味深いお話。
嘘や間違いはないとしても、
山口百恵は本当に歌えなかったのか、歌いたくなかったのか、
内面は、外面や発言と同じとは限らない。
あるいは、
同じ画も語り方ひとつで別のものに見える、
大林宣彦監督らしい述懐に思えます。

( 「もう、忘れました」と言って断っただけの可能性も )

( 大林監督は、
  山口百恵はスパッと芸能人を辞めたのだ、
  と言いたかった、
  思っていた、
  のだと思う )








posted by inatt at 07:50| Comment(0) | #名刺がわりのリンク集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする