2006年08月08日

【映画】 転校生 1982年

 
夏、というとこの映画の描写を思い出すことがあります。
( 正確には、6/10から1ヶ月余りのようなのですが。 )

有名なラストシーンはもちろんですが、

忘れられないのが、
自転車を漕いで鉄橋を渡る小林聡美。
なんであんなに躍動的に見えるのだろう。

この映画は、
一美になった一夫や
一夫になった一美の話というよりは、

斉藤一美と、
斉藤一夫が乗り移った一美と、
一夫に乗り移るという経験をした後、元に戻った一美を、

一所懸命、活き活きと演じる小林聡美の映画だと
思って観るのが一番楽しめるでしょう。

「血が通った」演技とか言いますけど、
血が通った「小林聡美」を写し取ったので、
鉄橋を渡る躍動感が生まれたのでしょうか。

そんな彼女を自らの分身である一夫が8ミリに撮り、
一夫ごと、まるごと映画の中に閉じ込めて、
少年大林が呟く、「さよなら、おれ。」


ーーーーー
 
 
20121208追記

2012年6月にNHKBSで放送されたものを録画で久しぶりに観ました。

上記感想を書いてから、また更に年を取って、
味わい深く観ることができました。

wikipediaの、
大林千茱萸は、つまり完全に「プロの映画屋による自主映画」と述べている。「金銭面での苦労はあったが心に不自由なことは何ひとつなかった。むしろ自由で幸福な映画作りは永遠にフィルムに焼き付いていると信じられるし、その幸福感が観る者の心にも触れるのだろうと思う」と話している。

という言葉がこの映画をよく説明していると思いました。

( 今は気になる画や音のノイズを最新の技術でとりのぞくことも可能でしょうが、
  そういうことをすると何か大事なものも無くなってしまうのでしょうね。 )

そして、
その稀有な映画を、
10代、20代、30代、40代と繰り返し観て、
感じることが少しずつ変わっていったことを実感しました。

それは映画が変わったのではなく、
自分が人生を経て変わっていっているということ。

その内容を人に上手に説明することは自分にはできないけれど、
とりみきの「もうひとつの転校生」を読んだり、
2007年版「長野転校生」を観たりすると、

自分以外も、
これを作った監督本人でさえ、
それぞれに、
同じことを体験しているのではないかと思いました。

( 以前、
  さびしんぼうのエンディングロールを大林監督が変更していることに触れましたが、
  転校生のほうは監督本人でさえ変更を加えることは憚れる、
  新たなものを作り直すしかない、
  さびしんぼうは、監督自身のものだけど、
  転校生は誰のものでもない作品になってしまっている、
  ということでしょうか。 )


そういう力を持った、不思議な映画だと思いました。


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20200624追記

「映画は同じ作品を何度も繰り返して見てほしいと思う。というのも、同じ映画を今日観るのと明日見るのとでは、見え方が変わってくるからだ。」
「キネマの玉手箱」(p173)

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20190317追記


この映画を観る度に、
「さよなら、オレ」という台詞の意味について、考えるのですが、


原作の「おれがあいつであいつがおれで(山中恒)」
旺文社文庫の大林監督の解説文に、
とても直截的に分かりやすく説明されていました。


すると今度は、
リメイク作品に、「さよなら あなた」と題名をつけたことが、
今更に、気になってきました・笑


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( 大林宣彦監督関連の記事は、左上の検索ボックスから大林で検索してみてください。 )


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posted by inatt at 17:55| Comment(1) | TrackBack(1) | 感想など・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Posted by 成一郎 at 2007年01月05日 01:36
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