2013年4月20日土曜日、
第2回将棋電王戦五番勝負で、
三浦八段が負け、プロ棋士の負け越しが決まったとき、
ニコニコ生放送で観ていた私は、
多くの人と同様、
人間の中でも最高の頭脳集団が機械に負けてしまった、
ということから生じる、曰く言い難い感情に襲われました。
その気持ちは今でもうまく言葉に整理できないのですが、
それからわずか1年余りしかたっていないのに、
この番組では、また異なる感慨を持つに至りました。
機械に負けてなお、人間の素晴らしさに感動するというか。
以下、印象深いところを、
自分のために書き残します。
・1996年版将棋年鑑。「コンピュータがプロ棋士を負かす日は?」
米長邦雄「永遠になし」
加藤一二三「来ないでしょう」
佐藤秀司「そういうことになったらプロは要らなくなるので、こないように祈るしかない」
中原誠「だいぶ先とは思いますがくるはずです」
羽生善治「2015年」
森内俊之「2010年」
羽生さんや森内さんは、
コンピュータがプロ棋士を負かす日が遠からず来ると思っていたし、
それでプロが要らなくなる、自らの価値がなくなる、とも思っていない、
何か、他の人には見えてないものが、見えているようですね。
・「本当にいい手だなと思いましたね。
何というか、感心してしまったというか。
人間で言うと、強い人じゃないと指せない手ですね。」
・「今までに経験したことのない強さ。
本当にいまだに敗因という敗因がわからない。」
・「(昭和50年代に指されていた)大昔の形でも、
もう一度研究しなおさなければいけないものがたくさん眠っている。」
・勝利した豊島七段は、過剰に恐れることなく、
対戦相手の得意不得意を、冷静に見極めていた。
・「前例のない、コンピュータも予測できないところで、
人間があえて踏み込んでいって、
コンピュータもそれほど完璧でないことを理解して、
勇気を持って切り込んでいったところが強い」
・コンピュータに共感する森下九段。
・他の棋士がいい将棋と評価する名局を生み出す人間とコンピュータ。
・チャンスが来たと思ったとき、気が緩んで、見落としをしてしまう人間。
・強いコンピュータと戦うことで人間も進歩する。
・これからは棋士がソフトから学んで強くなる。
・「怖がったというんですかね。安全に指したいという気持ちが強くなってしまった」
・人間が負けた原因は、
体力や集中力の欠如や気が緩んだとか怖がったとか、
結局、自分との闘いという論点になる。
(これは、別のところでいつか、
きちんと書きたいと思っていることなのですが、
マンガ、ヒカルの碁で、
私が最も印象的だったのは、
神の一手にたどり着くには、
一人の人間が努力するだけでは無理で、
( 生霊が1000年かけてもできないのに・笑 )
人間が二人必要であり、
互いに死力を尽くして勝負することにより実現される、
という物語のなかでの潜在的な前提でした。
この番組を観て、それに加えて、
人間から学んだコンピュータ、
コンピュータから学んだ人間が、
神の一手への到達に関わっていくことを夢想しました。)
また、コンピュータから見た視点としては、
「ロボットがいつか心を持つ」という論点を
また思い出しました。
http://inatt.seesaa.net/article/398822440.html
ラベル:#将棋