2020年11月01日

【映画】 転校生-さよなら あなた- 2007年


 
人は 誰も、――
生きて その物語を残す。

人の命には 限りがあるが、
物語の命は永遠だろう。

未来の子供たちよ、――
今も元気で暮らしていますか?……


この映画の最後に示された言葉は、
大林宣彦監督が、
ハウスやさびしんぼうのラストで語ったことと
同じことをを示しているが、
ひとつ違うのは、
監督自身が未来へ語りかける形となっていること。





【映画】 ハウス HOUSE 1977年

http://inatt.seesaa.net/article/398821810.html

たとえ肉体が滅んでも、
人はいつまでも誰かの心の中に
その人への想いとともに生き続けている。

だから、
愛の物語が
いつまでも語り継がれていかなければならない。
愛する人の命を永久に生きながらえさせるために。

永久の命、
失われることのない人の想い、
たったひとつの約束、
それが愛。


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【映画】 さびしんぼう 1985年

http://inatt.seesaa.net/article/398821762.html

親愛なるフレデリックショパンさんよ、
あなたがあの痛ましくも輝かしい19世紀の青春に、
命を賭けて燃やした情熱の炎は、
その肉体が滅んでしまった遠い今となってもなおさらに、
僕らの感情を激しくゆさぶらないではいない

思えばこれこそが、
あなたが永遠に願った、
真実の恋の勝利というものではなかっただろうか。

さびしんぼうよ、いつまでも。
おおい、さびしんぼう。


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「人は死んでしまうが、死なない人もいるのだ。」

http://inatt.seesaa.net/article/398821971.html

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「稲尾君は逝ってしまったが、私の暮らしのなかでは登板し続けている」

http://inatt.seesaa.net/article/398822156.html





さらに、

この映画では、今までと違う視点も加わってきていると思う。
 

一夫は「さよなら、お前」と言ったが、それは、
前作の似た台詞と同じなのか違うのか。

そして、
「さよなら あなた」とは、誰が誰に語っているのか。 



「さよならあなた
 もう会えないから
 今日から隣で
 思い出したら微笑んで

 私の隣で微笑んで」 (「さよならの歌」寺尾紗穂)


・「さよならの歌」の歌詞は、

 この世に残った人からこの世を去った人への言葉だと思うが、
 本作の最後では一美が私たちに向かって歌う。

 この世の人とこの世を去った人の視点がいったりきたり混じりあったり、

 大林映画らしい、混沌とした語り口。


・この作品は、この世を去った人からの視点がこれまでより強調されているところが、

 これまでと違ってきているように思う。

 その意味で、本作は、単なるリメイクではなく、

 同じ筋立てで、別のことを示そうとした別作品としてもいいくらいに

 思うようになった。



・お墓

この映画の傾いた画面、嫌いではないのですが、

お墓がその画面にあわせ、傾いているのでは、といつか気づきました。

もしかしたら、カットごとに傾きが違うかもとも。

初見のとき、

なぜこんなところにお墓が、とは誰もが感じることだと思いますが、


( 普通はあのような場所に墓など建てないと百も承知でやってるわけですが、)


尾道の町を歩いたときに、

監督の感覚がなんとなくわかったような気になりました。

道端から手を伸ばせば、

墓石に手が届くということもありそうな。


( 「ふたり」のラストシーンのトラックの運転手について )






大林宣彦監督転校生の感想

http://inatt.seesaa.net/article/398821627.html
  
  
  
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posted by inatt at 05:39| Comment(0) | 感想など・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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