2021年05月04日

【ドラマ】 透明なゆりかご 2018年



NHKで放送されたドラマ。
素晴らしい作品。

・海のそばに建つ産科病院
・屋内のシーンでも聞こえてくる波の音、海鳥の鳴き声
・柔らかな陽射しが差し込んでいる、分娩室、診察室、待合室、病室

茶化して言うと、
ちょうど10回なので、
これが民放ゴールデンで1クール放送されたなら、
世の中にものすごいセンセーションを巻き起こしたに違いありません。

変な話で、
NHK金曜夜10時ドラマ10だとそうならないんですね。
それが好いと思います。

第9回放送前に発信されたメッセージ、
「まずHPのあらすじをご覧下さい。耐えられないとお感じであれば、視聴を回避して頂いても構いません。」
とは、テレビドラマとして、前代未聞な表明だと思いますが、
スポンサーをつけないNHKだから言えることですし、
プロデューサーが素晴らしいということかもしれません。
(制作統括 - 須崎岳(NHKエンタープライズ)、橋練(NHK))



初主演で、こんなに難しい役柄を
おそらく期待以上にやり遂げたので、
当たり前のように朝ドラヒロインになった
清原果耶の凄さ。

・単に上手いというのではなく、
(見たことあるという感じではない)自然で繊細な表情

・特に目立つ言動や行動をしなくても、
 ドラマの品を生み出す主役としての柄の良さ

( NHKでは、このあと、時代劇や戦争を描くドラマに出演した。
  大河ドラマに向けて、
  NHKには育成計画でもあるのではないか・笑

  連続テレビ小説 なつぞら(2019)
   「千遥役は歩んできた半生が詳しく描かれてはいない分、
    私がしっかりとその過去を知って演じなければいけないと思いました」
  BS時代劇 螢草 菜々の剣(2019)
   殺陣を経験した。
   「時代劇は“所作”に感情が乗るんです」
  マンゴーの樹の下で〜ルソン島、戦火の約束〜
   「(捕虜として)連行されるシーンが、精神的にしんどかったです。
    〜現地の村人たちから野菜などを投げつけられたり、
    〜恨みの言葉を浴びせられたりするので。
    〜本気で投げたモノが当たる痛さ以上に、心が痛かったです。」 )


もちろん、周りの俳優さんたちも、素晴らしかった。

・医者の純粋な使命感が伝わる、瀬戸康史
・医師の後ろに控え支えている存在感を醸し出す、原田美枝子
・心に残る引け目を表現する、酒井若菜


お話の内容については、

毎回が、独立したお話である一方、
10回を通じ、主人公の成長を描いているところが好かったです。

最初は分からなかったのですが、
第4回に至り、
各回の重要ないくつかのシーンは、
主人公の想像であるとの思いに至りました。
主人公は人の気持ちがわからないことに悩んでいますが、
それに代わる素晴らしいイメージ力を持っている。

−視聴者の私たちが物語の中で観た重い出来事を浄化してくれるような

心に思い描いているだけで当初は傍観者にすぎなかった主人公ですが、
第9回では、主要人物に重要な働きかけを行うことになり、

最終回では、
主人公は、人の気持ちが分からないことを認めつつ、
自分自身が嬉しかったことを語ることで、
相手の心を動かすことができました。

そして、物語の最後、
主人公が母親に、
「そんなこと、思っていないくせに」と言います。
よく聞く、ありふれた台詞ながら、

相手が思っていることを分かっているわけではないけれど、
そう口に出せる、ということが、
主人公の成長を示している、
とても感慨深い台詞でした。





【各回の感想】

第1回「命のかけら」

初見のときは、
主人公と母の会話の
一枚下のひりひりが分からなかった思い出。
どこか変な母娘だなとしか。

分娩室のシーンで、
本当はマスクをするべきところ、
分娩を初めて目の当たりにして
マスクの紐が片側とれているのに
主人公が気づかない
という演出で
主役の表情を見せるようにしている、

コロナ後の再放送で気づきました。

こちらがマスクに関する演出に
敏くなってしまっているからなのですが。


第2回「母性ってなに」

( はい、一瞬で母性に目覚めた表情を超アップで。 )

それにこたえる10代の初主役俳優・笑

( 加えて、NHKの
  母性に目覚めさせられると説得力ある赤ん坊の調達能力 )


第3回「不機嫌な妊婦」

十二分に見応えのあるお話でありながら、
かつ、
まるごと第4回の伏線になっているエグさ。


第4回 「産科危機」

スローなhappy birsthdayで始まる(「Re-Happy Birthday」)

時間経過が示される。
 12:08 出産
 12:24 出血が多い
 12:43 出血量1500、血圧90
 12:53 出血量2000
 12:56 意識レベルの低下、血圧84/52
 13:03 血圧76、挿管準備、出血量2200超
 13:13 搬送
 14:17 開腹
 15:01 死亡

エンボリ Embolization 塞栓術

母親が、
「あったかもしれないね、死のうとした事」
と言ったので、
主人公は、とあるシーンを想像し、
「きっと(母娘が)ふたりで止めたんだ」
と考える。

主人公のイメージ力が私たちに救いを与える。


冒頭と同じ劇伴で物語が終わる。


第5回 「14歳の妊娠」

一番心に残った回。

私は男なので、
このドラマが表現しようとしているところ、
理解できているのか、
はなはだ怪しいのですが、

この回に登場するお父さん(信太昌之)、

娘の出産に大反対するものの、
産まれた赤ちゃんに大感激し、

決して悪い人には描かれていないのですが、
母と子の絆の物語に、
どこまでいっても直接関わることがない・笑、という、
妊娠・出産に対する男の立ち位置の描かれ方が、
印象深いものでした・笑。
(最後に登場する妊婦の一族にも父が登場しない。
 お父さんは何処の海に!・笑)


第6回 「いつか望んだとき」

人の気持ちが分からないから、
「心から患者さんの気持ちを分かろうとする」


付き添いが必要なのは、一人きりで帰さないようにするため。



第7回「小さな手帳」

へその緒と一緒にいつまでも保管されている小さな手帳

厳しい運命描写で
心をぐらぐらにさせられる登場人物ばかりのこの物語で、
アオイの母(酒井若菜)は、
離婚、難しい子どもの教育、ワーキングマザーとしての自立など
人生の難関をくぐり抜けた強い人だと思います。
主人公はその娘。

( この物語では第5回と同じくアオイと父との関係の描写は省かれている)

注意欠陥多動性障害


第8回「妊婦たちの不安」

この物語唯一のお気楽キャラ・笑、望月広紀(柄本時生)


第9回「透明な子」


無事生まれ、育っても、「透明な子」



最終回「7日間の命」

第1回冒頭と最終回の最後には、いくつかのブックエンドがありますが、

川井看護師(野村麻純)の成長も描かれています。

ことほどさように、

登場人物すべてに光があたっているお話だったと思います。





20181223記

音楽(清水靖晃)が素晴らしく、
サウンドトラックを購入しました。

物語の最後に流れた「Happy Birthday to You」は、
「Re-Happy Birthday」という曲名になっていました。

それは、
第1回で語られた「透明な命」に向けた言葉なのかも、
と思いました。

慈愛の日々 - 清水靖晃
[iTunes]慈愛の日々 - 清水靖晃






透明なゆりかご・20221102・.jpg

(20221102撮)




posted by inatt at 12:15| Comment(0) | ・感想など・TVドラマ・NHK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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