大事なものを失ったのだと、思いました
【「不穏」な朝ドラ】
2019年下期の朝ドラ
今まで、いくつもの朝ドラを観てきましたが、
それまでのどれとも違う味わいを感じました。
台詞、演技、演出、劇伴(特にチェロ?ヴィオラ?の音色)が、
それぞれ過剰でなく、余白がありながらも、心が揺さぶられ、
観ていると、知らずにじんわりと涙ぐんでいるような、
時には体全体が揺さぶられたかのように感動してしまったシーンも
・八郎のフカ先生への告白
・信楽太郎の「さいなら」
また、
話の展開にドキドキ・ワクワクするというよりは、
ちょっとした会話や仕草に
よくわからない不穏を感じることがありました。

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主人公が陶芸家になることは、
この物語のゴールではありませんでした。
このドラマの作り手たちが、
一番示したかったことは何か、
最終回を観終わってなお、
つらつら考え続けています。
女性を表現する言葉で「男勝り」という言い方がありますが、
そういうことじゃなく、
強く生きていく「人間」を描きたかったのかな、
と思っています。
たとえば、
自分の気持ちを自覚したうえで、
自らの意思により、
信楽を去っていく三津。
この物語の登場人物は皆、特に女性は強いですよね。
男連中は、それよりは...・笑
性別にかかわらず、
運命に耐えかね、曲がってしまうような人が一切登場しない物語でした。
そのなかで、
主人公の喜美子は、
長女として家のことをやってきたし、
加えて、大久保さんに仕込まれて、
賄いや暮らしのやりくりも完璧で、
よくあるような、
仕事はできるけど、家事はダメとか、
仕事に夢中で、子育ては放任主義だったとか、
そんなことはなく、
物語の登場人物として、
生きていくための手わざと
芸術を作り出す技術やひらめきを併せ持つ
弱点のない人です。
( あえて言うと、
息子の彼女に気が利かないとか、
それくらい・笑 )
そんな人がたどりついた、
自らの選択により、
また、
抗えない運命により、
大事なものを手放し、失いながらも
ひとりきりで窯に向かう暮らし。
【最終回を観て】
喜美子が、ひとり、穴窯に向かい続けることを示し、
物語が終わりました。
そこから何を感じるかが、この物語の核なのかなと思いましたが、
ふと、生まれた感慨は、
「そう、私たちは、そうやって生きていくのかも」
でも、「そうやって」が何を指すのか、
自分でもよくわからない・笑
独りきりで炎と向き合うということ?
【八郎の描かれ方】
また、
八郎の描きかたにひっかかりがありました。
最終週、八郎は喜美子たちと琵琶湖にいっしょに行っていない。
彼は喜美子の家族ではない?
脚本の水橋文美江さんは、
「八郎は喜美子の才能に嫉妬している」と断言しています。
「ヒロインが戸田恵梨香さんに正式決定する前から、プロデューサーの内田ゆきさんと話していたのは、同業者の夫婦がうまくいかなくなる様を描くのは面白いのでは? ということです。結婚して夫婦揃って陶芸家になるけど、妻の才能が秀でていることで夫とのすれ違いが生まれる……。もともと、そういったところを描きましょう、描きたいねと言ってたんです。」(*)
この物語は、
「誰かの心を癒したり励ましたりする作品を作る」陶芸家にはなれなかった、
八郎のお話でもある、と思いました。
・ジョージ富士川のワークショップを外から眺めている
・「ハチさんに足りへんのは信じる力や」(第99回)
・「僕にとっては喜美子は女や、陶芸家やない」(第104回)
・息子に5年間「会いたい、いつか会いたい」と記した手紙を書き続けた(第108回)
物語の最後では、
喜美子にとっての八郎は、
元夫、陶芸の元先生、自分と同じ陶芸に携わっている人、であり、
家族や恋愛感情の対象ではなくなっていると思います。
(*)
「スカーレット」脚本家・水橋文美江が明かす、八郎「僕にとって喜美子は女や」発言の“本当の意味”
【喜美子が作った女系家族】
父親に縛られ、生き方を制約されて、育った。
穴窯で自然釉の作品を作るために、夫であり陶芸を教えてくれた八郎から離れることも厭わない。
(八郎が武志を手放さなかったら、息子さえそのままだったのではないか)
父親や夫の束縛を拒否し、自立すること、そのことで得るもの失うもの。
そうやってできてきた喜美子の家族・仲間たちが琵琶湖に出かけたように思いました。
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【呟きの記録】
#スカーレット 第8回
— inatt (@inatt) October 8, 2019
「女にもあるでえ
「女にも意地と誇りはあるんじゃぁーー
あるんじゃーのアクセントが印象的。
感情のままに心の声が思わず漏れたのではない言い方。
朝観て、1日元気をもらえるような、
朝ドラらしい好いシーンでした。
#スカーレット 第15回
— inatt (@inatt) October 16, 2019
チェロが音を紡ぐ劇伴が
心に残りました。
知らず、
荒木荘の世界に
引き込まれていました。
#スカーレット 第22回、
— inatt (@inatt) October 26, 2019
ほな12円や1足な、の回(笑)
を観返した。素敵なお話。
泥棒は、常治を大阪に行かせる、
ためにする出来事だったかと思いましたが、
そのことに文句言う人は
誰もいない。
ドラマって不思議やなと思います。
わが身に酷い不平等や理不尽がふりかかろうとも、
— inatt (@inatt) October 26, 2019
「女にも意地と誇りはある」って
このドラマは励まそうと
してくれているのかもしれません。#スカーレット
食べていくこと、
— inatt (@inatt) November 22, 2019
生きること、
創ること、
作ったものを
売ること、
売れること、
生活、
仕事、
芸術、
戦争、
みな一続きに
繋がっている。#スカーレット
柔道の技を駆使して、
— inatt (@inatt) November 27, 2019
壁ドンする、
朝ドラヒロイン#スカーレット 第51回 https://t.co/sambZ7Q3Rz
「"朝ドラ"の主役を演じる女優さんは時間の大金持ちだと思うんです。」
— inatt (@inatt) November 29, 2019
誰もが持てるわけではないものをたくさん持っているが、
持ってるだけでは意味がなくて、
その使い方次第。
とりようによっては怖いお話いただきました。#スカーレット https://t.co/ocqEyOMCzo
#スカーレット 第102回、
— inatt (@inatt) January 31, 2020
信楽太郎回、
身悶えるほどに感動しました。
音楽には
心の何かを浄化する力がある。
#スカーレット 第105回、
— inatt (@inatt) February 5, 2020
昔の物語なら決め台詞かもしれない
王子の願いを退けて
主人公は「陶芸家」になった。
観ている私たちは
主人公の目標達成に快哉をあげるでもなく
物語の行く末を見守る。
( #まんぷく の即席ラーメン完成は第112回でした。)
#スカーレット
— inatt (@inatt) February 8, 2020
第102回で「さいなら」聴いて、
「染みるなー」とか言うてからの、
第108回の最後のナレーションで、
トンと後ろから突き落とされました。
両方ちゃんと観とかんと
味わえませんで、大吉さん・笑。
#スカーレット
— inatt (@inatt) February 24, 2020
川原家の食卓には、#ごちそうさん の頃から使っているぬか床で
漬けた漬物が出てくるそうです。
朝ドラファン垂涎。https://t.co/9606LTefxB
#スカーレット 第149回
— inatt (@inatt) March 27, 2020
「いつもと変わらない1日は特別な1日」 に、
「不要不急の外出を控える」と言われている現状や、
「また笑いながら絵描けることがどれだけ幸せなことか」
と語ったフカ先生の言葉(第41回)に
想いを馳せました。
武志が警察の厄介になるような子供だったとしても、
— inatt (@inatt) October 30, 2020
喜美子の物語は、
何も変わらないような気がするなど。#スカーレット
こんな「粋な計らい」、誰がどこに頼んだらできるんだろう。仕組み分からないけど、こんな「忖度・圧力」なら大歓迎だよ。 #スカーレット「スカーレット」総集編 ラテ欄縦読み複数登場!地域ごとに「喜美子」「はち沼」10種類以上 ネット反響― スポニチ Sponichi Annex 芸能 https://t.co/vupQESbOGe
— 玉川 薫 (@tamagawakaoru) December 30, 2019