2020年08月21日

20200809 【TV】 NHKスペシャル 「渡辺恒雄 戦争と政治〜戦後日本の自画像〜」 (「戦争体験」と実利主義 )



NHKスペシャル、考えさせられるところの多い番組でした。


「戦争体験」を根っこに持った実利主義

それって、おしんの戦後の行動理念・笑
 (おしんは1983年にそれに行き詰まり旅に出る)


保阪正康
プラグマティックにならなきゃいけないっていうのが、あの戦争から学んだ最大の教訓ですよ。
実は、中曽根さんや渡辺さんたちは(それを)やってるんだね。
支えているものは何かといったら、彼らが共通してもっている「戦争体験」なんだと。
渡辺さんが象徴していたもの(「戦争体験の共有」)がいま終わりつつある。

御厨貴
政治の議論というのは基盤になるところが広くないとだめなんですよ。
だけど今それがどんどんなくなって、政治家にもない、官僚にもない、というところで、
何となくの行き詰まり現象が起きているんだと。
日本はこれからものを語っていく上で大変ですよ。
戦争に変わるものとして何を、皆が知っている(ものを)ね、
議論の中において、議論をやっていくのか、
それがもう、共通のベースがないもの。

現状およびこれからの問題点について、
なるほどと思うところがありました。
一方、
実利的に有能であることには、
岸も渡辺も違いはなく、

渡辺恒雄は、もう10年15年早く生まれていれば、
戦前にあって、結局、その時の権力者の誰かとくっついていたのではないか、
と私は思ってしまいました。

戦後の政治家の金のやりとりをただ見ていたように、
戦前の軍人や政治家のやることを黙過したのではないか。

日本共産党の入党経験ですら、
実利的にためになったと総括しているくらいだ。
主義・思想は関係ない。

だから、大事なことは、
実利先行的な考え方や「戦争体験」のような共通のベースとは異なる何かのような気がする。
「戦争体験」を軽視するわけではないが、
今の状況を、終戦から75年、「戦争体験」共有の喪失が問題ととらえても、
同じく、たとえば、
戦前の状況を、「明治維新から終戦まで77年、維新時の危機感を忘れ、日露戦争などの成功に驕ったことが問題だった」と言っても、
今後の道標にはならない気がする。


実利選好一辺倒ではいけない、ということが戦後の振り返りなのではないか。
(たとえば、統合型リゾートとか、
よそで儲かっているものを持ち込むことばかりになるなど)
そのような意見は、たとえば、「おしん」とか、
もう1980年代には提示されていたことかもしれない。

あるいは、
戦前、戦後に共通するもの、
岸と渡辺に共通するもの、
こそ、批評の対象にすべきものかもしれない。

現在は、
(戦前は、欧州状況を見ながら極東を考えるというようなことだったことが、)
グローバリズムのなかで、
世界は一体となっていて、
自分の国だけ、
仙人のように生きていくこともできず、
実利を考えないことはありえず、

それに付け加えるものは何か、

ということが論点なのかもしれない。


https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2020108752SA000/






著名な記者が3人登場する。
渡辺恒雄だけでなく、西山太吉も出てきたので、
戦前、戦後のジャーナリズムを題材にしたNHKスペシャルも観てみたい。

・政治家の金のやりとりを目の当たりにしながら、記事にしなかった人

・国家機密を倫理的に疑問な方法で入手し、特定の政党に情報を流した人

戦前戦中のジャーナリストの体験を明らかにすることは、

重要な記録、振り返りだと思うのですが。


posted by inatt at 11:39| Comment(0) | ・感想など・TV・NHK総合 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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