毎回、1時間ずっと飽きることなく、
たくさん、あははと笑いながら観ているドラマ、
なんですけど、
洒落ていることには
洒落ていること以外の何があるんだろう、
とも思う。
また、
松たか子が、鋼鉄の丸太みたいに、
強い人を演じて成立しているお話。
(「松たか子さんにこんな役を書いてみたい。〜職業は歯科医でしょうか。松さんが歯医者って怖いですね。何の躊躇もなく黙々と削りそうで」(坂元裕二))
大豆田とわ子のような人は世の中にいないと思うし、
誰にも、いつまでもちやほやしてくれる三人の元夫は存在しない。
( 代わりに、とわ子にマウンティングしてくる、門谷(谷中敦)や西園寺は、現実にもたくさん居る )
( 小鳥遊さんはどうか?彼に幸は訪れるのか? )
でも、
この物語を観た人が何か前向きに幸せな気持ちになれるなら、
それが素敵なドラマというものなのかもしれない。
ただ、
表面的な気持ちよさに浸るだけでは、
よろしくないような気もしている。
このドラマが、
コロナ禍の最中、
2021年6月の2021年東京オリンピック開催の前月に放送され、
一部に熱い支持を得たことは、
何か不思議なような、
関係あるようなないような。
10年後にこのドラマがどのようにみえるのか興味深い。
いわゆるトレンディドラマを
私は1クール全話観たことがほとんどない。
それらが制作、放送されたころ、
私は、
それらが放送されている時間に家に帰ったことがなかった。
(リゲインとかタフマンの時代だ)
たまに断片を目にしても、
これらドラマの登場人物たちは、
外目にスマートな仕事ぶりで、
とても家賃の高そうな小綺麗な住処に棲んでいるのが、
自分の生活感からはとても遠くに感じられ、
現実感がなかった。
そして、一番理解できなかったのは、
男女がくっつくにしても、分かれるにしても、
納得感を持てなかったこと。
くっつくことになってるからくっつく、
別れることになってるから別れる、
みたいに思えた。
予定調和を見せられても、
心に得るものがない。
白雪姫でもシンデレラでも、
結婚してからあとが、
ドラマなのではないのか。
「大豆田とわ子と三人の元夫」では、当初、それと同じ気配を感じた。
・コロナのない世界
・本人の意識はどうあれ、仕事では成功
・都心にあんなお洒落なお店を開店するには資金がどれだけ必要か
・大豆田とわ子の家のリビングは何平米なんだろう。
ダイニングリビングに加えて
少なくとも、とわ子と唄の部屋があって、家全体は何平米なんだ。
( 彼らの生活圏は渋谷区内だ。 )(*)
・視聴者の大多数は、
2年間、毎日お客さんに挨拶しても、反応もされず、顔も覚えてもらえず、
田舎に帰ることになった小谷翼(石橋菜津美)側だと思うけど、
彼女の人生は、ドラマ内において、
渋谷のビジネスホテルに常泊することができる慎森のエピソードとして、
消費・消化されてしまったように思える。
(*)20250411のNHK、スイッチインタビュー「坂元裕二×新海誠」で、
坂元が作るキャラクター表がちら見できて、
大豆田とわ子は、「代々木八幡のひろびろとしたマンションに住んでいる」
と書かれていた。
ドラマロケも代々木八幡近辺で行われていたことを思い出した。(20250412追記)
こんなことをドラマでいちいち言うのは不毛だとも分かっていますけれども。
ただ、このドラマは、
そういうお洒落をかなり極上に料理することができていると思う。
複数の元夫との関係を予定調和でなくお話を綺麗にまとめた。
母親の不倫さえ、お洒落に処理できてしまっている。
このドラマの脚本家の意図はどこにあるのだろう。
■各回の感想
#3
#大豆田とわ子と三人の元夫 #3
— inatt (@inatt) April 28, 2021
毎回楽しく観てる。
でも、
鬼渡みたいな結婚生活を
しゃっくりと
「人生最高のパーティー」で
綺麗に装う造りには空虚さもある。
洒落ていることには
洒落ていること以外の何があるんだろう。
(離婚の理由はしゃっくりを止められなかったことでは決してないよ)
#4
田中八作と棉来かごめの首を傾げる仕草、
脚本か、演出か、演者の考えか、
松田龍平と市川実日子は納得か。
ただ、それっぽいだけで、本当は意味がないような印象でした。
#5
#大豆田とわ子と三人の元夫 #5
— inatt (@inatt) May 11, 2021
今回明らかになったのは、
鷹宮紫織が速水真澄と結婚して、
娘を産んだあとで、
夫の心の中には北島マヤがいると感づいたってことでしょ。
よく自殺未遂したり、発狂したりしなかったな。
また、思春期の娘がそれを知ったら、どう思うのか。#ガラスの仮面
#7
#大豆田とわ子と三人の元夫 #7
— inatt (@inatt) May 25, 2021
驚きの終わり方に、
松たか子と声あわせて、
ドラマの題名を唱和してしまった。
#8
#大豆田とわ子と三人の元夫 #8
— inatt (@inatt) June 2, 2021
3つのショートケーキを数学的に4等分することは
可能だが、
いちごは3つしかないから、やらないほうがよい。
前の3人の夫たちとも、
こんな風に訳の分かんない感じに距離が詰まって行ったんだろう、
と思いながら観てた。
#9
#大豆田とわ子と三人の元夫 #9
— inatt (@inatt) June 9, 2021
・慎森を子犬のように転がして暮らすのが一番愉しいのでは
・松田龍平の理想の夫、すごく浮いてたと思う#内田善美 の #空の色ににている を思い出した
大豆田とわ子と田中八作は、ともに
綿来かごめとぴったりと合うピースの形をしている点で、
運命的に近しいが、
お互い同士は、つながりあう形ではない。
#10
人間って、長い時間がかかるかもしれないけど、成長する
・お土産っていります?と言ってた人がおそろいのシャツをお土産にする
・壊れた網戸をいつの間にかひとりで直せるようになる
・自転車だって、お父さんが教えてくれなくても、必要があれば自分でできるようになるのだろう
ーー
私の好きは、
その人が笑っててくれること、
笑っててくれたら、
あとはもう何でもいい、
そういう感じ。
って言ってたけど、
とわ子自身は、
仕事とかごめと唄以外のことで、
人のために動くようなことは
ほとんどない・笑
#大豆田とわ子と三人の元夫 #10
— inatt (@inatt) June 15, 2021
とても楽しみました。
母親の挿話でふと妄想。
かごめはとわ子のことを愛していて、
最後までそれを心に秘していたが、
とわ子はかごめの残した漫画を読み
それに気づいた、とか。
それはともかく、
一枚めくると結構怖いお話を
徹底的にお洒落に見せたドラマだった。
それはともかく、伊藤沙莉のナレーションという発明。
#まめ夫 みたいに自分の日常に「自転車に乗ると風でオールバックになってしまう、そ」「スニーカーを履こうとすると何故か左手の人差し指の爪が欠ける、そ」と (cv.伊藤沙莉) でナレーションを付けるとちょっと毎日が楽しくなるので、やってみてください
— そ (@__sososo10) April 30, 2021
★FRaU webに寄稿しました。『#大豆田とわ子と三人の元夫』に見る坂元裕二の作風の変化、多数派からはみ出す人たちの物語、「円」「ループ」「3」のモチーフが多用される理由などについて考察しています。今夜の第6話OA直前のおともにどうぞ!https://t.co/j4OrOluzKx #FRaU
— 福田フクスケ (@f_fukusuke) May 18, 2021
#大豆田とわ子と三人の元夫 一人で生きること、苦しみながらも仕事して生きていくこと、他者を許して責任を引き受けて大人であること。それらを「素敵なこと」として提示するフィクション作品は今までこの国のテレビにはほぼ無かったと思います。未踏の一歩たる素晴らしい作品でした。大きな拍手を!
— かな ドラマ鑑賞アカ (@kanadorama) June 15, 2021
なるほどと思う。
「一人で生きること、苦しみながらも仕事して生きていくこと、他者を許して責任を引き受けて大人であること」
と、言われると私は、おしんを思い出す。
『#大豆田とわ子と三人の元夫』、三人の元夫ってほんとうに実在してたのかな? いや、実在はするんだろうけど、離婚後にとわ子にまとわりついていた三人の元夫たちってほんとうだったのかな、彼女の内なる声だったのでは? という気がしてきた。大豆田とわ子、おらおらでひとりいぐもみたいだった。
— しみず さるひこ (@bub_shimizu) June 15, 2021
「怪談めいた非現実感」を私も感じた。
コロッケ食べながら出てきたマーさんはまるでかごめちゃんで、
— 空茜 (@soraakane0903) June 15, 2021
マーさんを心のどこかで思い続けたつき子は八作で、
それに気付いてしまった旺介はとわ子だった…
そしてまた、何でも話し合えたマーさんとつき子の愛情は、
かごめちゃんととわ子の友情にも似てて…
あぁ…
#大豆田とわ子と三人の元夫 pic.twitter.com/oROyoF02WA
運気が逃げるといわれたシナモンロールの食べこぼしを気にしない大豆田とわ子。きれいに食べることに神経をすり減らすくらいなら、あるがままに美味しく食べることを選ぶ。これを最後に持ってくるって、やっぱり #大豆田とわ子と三人の元夫 ならではの面白さよね。
— 酒上小琴【サケノウエノコゴト】 (@raizou5th) June 15, 2021
「私は大豆田とわ子は佐野さんという人にそっくりだと思っているんです。佐野さんという人を吸い取って脚本にしたのではないかと思うほど。」(渡辺あや)
渡辺あや×佐野亜裕美インタビュー #2
https://crea.bunshun.jp/articles/-/38739