監督論がテーマ。
最も印象に残ったのは、
二宮清純、金子達仁両氏の対談における、
王貞治監督の話。
二宮「先ほどの監督の資質(神秘性、解決力など)に
最後に付け加えるとしたら、
「徳」だと思うんです。人徳力、人がついていく徳。(略)
なぜ前回のWBCで王さんが世界一になれたのか。
逆に北京五輪で星野さんは不幸な結果に終わったのか。
第1回WBCでの王さんの態度、
たとえば審判への抗議などは毅然としていて、
美しかった。
勝利の女神も惚れますよ。
最初に読んだときは、「なるほど!」と
すごく納得したのですが、
少し冷静になってみると、これは違うように思います。
因果関係が逆立ちしていると思うのです。
王監督のカリスマ性の成分のひとつを、
「徳」と表現したところに、すごく納得したのですけど、
それと、勝負の結果との因果関係は証明できない。
たぶん、正確には、
WBCに勝っても、リーグでソフトバンクが最下位になっても、
「王さんだから」と皆が納得する、
それが王監督の「人徳」なのであって、
勝利の所以とはいいきれない。
そうは言っても、「徳」というのは、
生まれながらに備えたものでなく、
品行方正とか、人が良いとかいうことではなくて、
球界の盟主球団から、
別リーグのBクラスチームへ都落ちし、
卵をぶつけられるような場面も潜り抜けて、
勝負師としても結果を出した人の、
それらの体験をすべて混ぜこぜにして、
濁ることなく昇華させた、
いつのまにか身についた何か、
類まれな属性なのだと思います。
北京五輪も、
監督が王監督だったら勝負の結果が変わっていたか、
それは分からないと思います。
でも、同じ敗退でも、
王監督と星野監督の「徳」の成分の相違により、
世間の反応は違っていたのだろうと思います。
もうひとつ、メモしておきたいな、と思ったのは、
野村克也監督著作の近刊12冊を精読して、
そのポイントを抽出した記事。(松原孝臣)
その内容を更に圧縮して紹介すると、
・監督とは気づかせ屋である。
自己流の間違いに気づかせて本来の力を発揮させることが、
成功の第一歩。
ただ叱れば聞くものではないので、
説得力を出すために、データを使う。
・情の重要性。人を動かすものは心だ。
・最低限の才能人材がチームには必要。
成績だけでなく他の選手の手本となる姿勢が求められる、
4番とエースが組織の中心にあれば、
組織は正しい方向に進む。
ただし、そんな才能を持つ4番とエースは育てられない。
そうした人材は獲得するしかない。
・あるレベルに達しない選手には、
チームワークでなく、個人主義を推奨する。
中途半端なレベルの選手がチームワークに加わると、
全体のレベルを下げてしまう。
どの本にも、これら、同じ内容が繰り返されているという。
何故か。
・伝えたいことは、
相手が分かるまで、同じことを言い続けることが重要だから。
ここまでのお話で、
ドイツワールドカップで、
ジーコジャパンが勝てなかった理由が説明できそうな。
・神秘性はあるが、解決力のない(気づかせられない)監督
・情(徳)のあるチームリーダーの不在により、
組織の中心が未形成
中田選手には実力(神秘性)はあるが、人がついていく徳がなく、
宮本選手には特に黄金世代に対して、
個人の実力を根拠とした説得力(神秘性)がない。
・一部の選手がチームワークの形成を妨げた。
・チーム貢献がほとんどなかった黄金世代の選手たちは、
将来、指導者として適性があるか疑問。
日本サッカーの長期的な展望は暗いものであるような気がしています。
Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2009年 2/19号 [雑誌]
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posted by inatt at 00:37|
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