2021年04月05日

【ドラマ】 タイガー&ドラゴン 2005年 (全体の感想)



2005年のドラマ ( wikipedia )

再放送され(20201228〜)、久しぶりに観ました。

・作り手は、磯山晶、宮藤官九郎、金子文紀、仲西匡をはじめとする皆さん。

・豪華なキャスト
 林屋亭どん兵衛一門は、大河ドラマで説明すると、主役経験者が3人で、
  西田敏行(徳川吉宗)、阿部サダヲ(徳川家康)、岡田准一(黒田官兵衛)、
  春風亭昇太(今川義元)、
  星野源(徳川秀忠)、深水元基(福島正則)、浅利陽介(小早川秀秋)、
  銀粉蝶(大政所)
 出来る俳優さんたちが、全力で、人情噺。

 ( 「出来心」では、このうち、5人がふんどし姿を披露 )




・劇伴(仲西匡)がいい。

(Amazonで試聴可能)


タイガー&ドラゴン ロケ地ガイド
 「喫茶 よしこ」「そば辰」のあったあたりは、まだ面影が残っているのだろうか。


・ヤスオとまるおは、やくざの世界、お笑いの世界のもうひとりの虎児






■三枚起請

マクラは、どん吉。

ナンの話から始まる。
「何に書いてもらおうっつって、ナンに書いてもらったって話」

虎児「思えば、両親が死んでから、俺は一度も笑ったことがなかった。
笑うことも笑わせることも、俺の人生には必要ねえと思ったから」

いつのまにか虎児が右手にしているRELOX

「小百合ちゃん泣いてるじゃねえかよ」

「はい、ナポリタンおまたせ」


2020年年末の再放送は、
パイロット的に単発ドラマとして制作された本回から放送する
良心的な編成でしたが、
(連ドラとしての第1回は「芝浜」)
かなり大胆にシーンのカットがあり、
五人起請といいながら、
それに関わる部分さえ端折っていました。
逆にいうと、
「三人起請なのに、五人じゃねえか」というアイデアは、
結果として、シーンが冗長になってしまったんだな、
と変な部分で納得しました・笑

腕に刺青を入れた人
 辰夫、チビT、輝比弧、トシ、ヤスオ


■芝浜

マクラは、小虎。

「お義母さんが、泣いてますから」

「はい、ミートソース、お待たせ」

「どっかでお会いしましたっけ」

リサ(蒼井優)のいじらしさ、可愛らしさで成立させているお噺。


■饅頭怖い

マクラは、どん太。(どんぐりころころ)

「出川抜いたよ」

浅草寺鶴子「泣いて国際通りU」(潮騒のメモリーの原型・笑)

「はじめまして」

「親なのか師匠なのか、わかんねえから、イラつくんだろ」

「あと、お母さんが泣いています」

「親子っつーのはよ、なんかよ、いいもんだな」

「落語もおもしれえけど、親子もおもしれえや」

鶴瓶と渡り合った松本まりかの花嫁、すぐにも人気俳優になると思っていた

「コーラフロートお待たせ」

「封筒用意しとけって言ったろ」


■茶の湯

マクラは、銀次郎

「月々10万の返済やったら完済するのは2008年や、ということはお前2008年まではお前カタギにならへんちうこっちゃい
( 結局どうでも2008年まで自由の身になってない)

人生ゲーム

「で、お前はどんぐりだっけ?」

「甘いよ、このマックスコーヒー」

「小百合ちゃんが泣いてますよ...泣いてませんでした」

2chの感想「正直ガカーリ」「萎えー。」


■権助提灯

マクラは辰夫

「沙耶ちゃん、今のがノリつっこみだぞ」「うん」

「メガネすっきり曇りなし、お鍋すっかり食うものなし」(落語芸術協会会長かく語りき)

「やばいぞ竜二、小百合ちゃんが泣いてる」

「つきあっちゃえばいいんじゃん」

「はーい、カレーライスお待たせ」

「そのぐらい覚えといてくれっちうねん」

(私、初見のときは、どちらがラブレターを書いたのか、はっきりわかりませんでした・恥)


■厩火事

マクラはメグミ

スウェーデン大使館は六本木、でも青山だから。


( 20230204追記 本回ではギャグだが、今は、Zabu−1グランプリというものがあるらしい )


「堪忍ニン」

まるお「思たら両親が死んでから、ワシはずうっと笑いっぱなしやった
笑うことと、笑かすことしか、ワシの人生必要ない、ちうてな。」

左手に数珠をしているまるお

「まりちゃん泣いたら、あたしだって泣いちゃうよ、いいの?」

竜二がデザインしたふざけた舞台衣装が、何故か、思いつめた漫才師夫婦の対話に似合っている


ーーー

肝心なところ、

まるおまりものふたりの顔を同時に映すことはなく、

ところどころ、
まるおの表情、
まりもの表情を、
画面に映さず、

最後の肝心な台詞は、
話した人も聞いた人も
どんな表情をしていたのかわからなかった。

画面に映らなかったものに思いをはせて、
私にとって、
いつまでも忘れらない一話となった。

まりもは、
最初、自分への愛情を試そうとして、
次に、まるおの芸への本気を試そうとして、
結果、両方を確認することができた。
自分の過去、まるおの将来、
まるおの表情から両方を感じとれたことが彼女の幸せであった、

一方、
相方を失っても、笑いに突き進もうとする、
まるおは幸せなのか、どうか。

彼は、いつかこの先でまた破滅するのではないか。

ふたりが最後に分かり合えたかどうか、よくわからない。

(相手を試す嘘の作用と反作用)

と、今の私は考えます。


そして、
虎児もこの後、
まるおと同じように、
生き方を試されることになる。


唐土の孔子の感想
 http://inatt.tokyo/article/398821148.html

麹町の猿の感想
 http://inatt.tokyo/article/398821475.html


まあ、それらはいったん置いといて...

「井上和香!」


■明烏

マクラは、白石克子

舞台から長瀬智也に蹴り落された星野源が、
次のシーンで額に絆創膏を貼っていることに、
15年経って気づきました・笑

「師匠(落語芸術協会会長)がいねえと、あいうえお作文ができないんすよ」

「ママ、沙耶ちゃんが泣いてます」

「はい、レモネードお待たせ」


■猫の皿

マクラは、柳亭小しん

「うなどんはな、入門前だったからな」「うどんです」

「んなこと言ってると、お前、小百合ちゃん泣いちゃうぞ」

「ペペロンチーノお待たせ」



■出来心


■粗忽長屋

「魔法が、魔法がとけちゃうう」

「俺の代わりは、もういねえんだよ」

「理由はひとつだよ」

「ツープラトンだよ」

「話にオチがつかないんだよ」

「変なアップリケのついてないやつだぞ」

「かしこまりぃ」

「はーい、煮込みお待たせ」


■品川心中


「ほんなら、最後の10万はな、わしが短い噺教えたるわ」

「ダメだって笑うんだよ」

「小百合ちゃんが、泣いてる」

小手伸也が出演していることに気づきました。

「はーい、焼きそばお待たせ」


■子は鎹


「ここに座ってたんだよ、3年前まで」

ナンの話で終わる「そっちのナンじゃねえよ」

「タイガー、タイガー」「有難いがー」






■私が観てみたい続編のエピソード

・銀次郎とりさの復縁
・日向の若妻の極妻奮闘
・隠居組長が落語家復帰
・ジャンプ亭ジャンプのスランプ脱出
・どん太の醜聞に鶴子大活躍
・どん吉一家の嫁姑小姑問題
・うどんの初恋と芸の肥やし
・まるおの復帰と栄光と破滅
・中谷中(組長どん兵衛)、W竜(どん太竜二)のダブル漫才
・どん太の芸能協会会長就任騒動

などなど







虎児、まるお、ヤスオ、右手に時計(数珠)をはめている人のお話


2021年03月27日

【ドラマ】 俺の家の話 2021年


人は皆、いつかこの世を去るが、マスクは残る







マスク、能面、マスクマン、フェイスシールド。

大事なお願いはマスクしないで直接出向いて土下座。

マスクをした人のいろんな所作や動き
 ・マスクで涙を拭う
 ・告白されて、顔がほころぶとマスクから鼻が出る

2022年1月になってもみんなマスクしている世界線

( 2021年3月には2022年1月になってもマスクしているとは思いたくなかった 20220913記 )





プロデューサー磯山晶、脚本宮藤官九郎、主演長瀬智也の
池袋ウエストゲートパークが2000年、

私自身は、
2005年のタイガー&ドラゴンから、クドカン脚本のドラマをよく観るようになり、

2021年に至り、

長瀬智也がバツイチで、もひとつさえないお父さんで、
西田敏行の介護をするドラマを観ていることが、
感慨深い。

作家や俳優の円熟を
20年かけて見ているという感慨でもある。

荒川良々のケアマネジャーとか、

ふざけたり揶揄したりだけでなく、
取扱の難しい題材の料理の仕方の上手いこと。

( 2007年のドラマ「演歌の女王」の感想で、
 「介護や痴呆を題材にして、笑いをとろうとするのは、難易度高すぎ」
 と書いたことがあります。 )


また、
本作は、
コロナ禍の世の中であることを前提にしたふるまい、描写。
三宅弘城がマスクから鼻を出しているのはそういう人物描写。


それにしても、複雑で、苦くて、温かくて、泣ける。

昔の作品は、過剰に誇張されたドラマと感じることもあったが、
本作は、大袈裟な展開や描写に、現実を感じる。

・介護はイベント
・リハビリを一所懸命やると認知症が改善したりするが惚けたふりを続ける
・隠れてプロレスラー稼業
・「私の家の話」も全部本当かどうか
・月6万に増やして嘘を演じることを依頼
・「死に方がわからない」
・能は褒めてもらえないけど、プロレスは褒められた
・逃げるのも才能
・ラーメン好きなやつってさ、ラーメン好きなやつの気持ちしかわかんねんだよな
・親に聞こえるところで、「親の介護もあんたの人生なんだよっ」
・「お子さん達が思い出すでしょ、これだけ迷惑かけたんだから」
・「認知症患者の行動には親族にしかわからない伏線があるんです」(怖)
・「泣きながらやっても、笑いながらやっても、介護は介護ですからね」
・「結構です。どうせ忘れちゃうんでしょ」
・「ときどき、言っちゃいけないこともさ、吐き出しながらやれるといいよね」


「育ちの悪さが足に出てんだよ
「親の顔が見てえわ
とか、
認知症で忘れちゃったわけじゃなかったけど、
寿限無の盗みを疑ったことは真実
とか、
観返すことによりさらにえぐい、

惚けとは別のところで、自然と吐き出される心のうち。

( 寿一に起こったことが、
  寿限無だったら、
  とは、ちょっと恐ろしい想像 )



■第4話



クドカンならではと思うのは、
鐘のなかに大州が隠れていると思って、
ドラマを感じ、
実際は鐘の後ろに
道成寺の衣装の寿限無がいることに
ドラマを更に重ねるところ。

( 普通のドラマは姿を隠すのは一人 )

■第6話

コケティッシュな魅力を自在に操る戸田恵梨香・笑。



■第7話

寿一は左膝を故障しているので、
畳のうえで左足だけ伸ばして座っているシーンに気づきました。

殺気があるとは、長瀬智也自身に対して、作り手たちが感じていることなのかも。


( このあと、殺気が消えた演技も見ることになる )

■第10話

正直に記録しておきますが、

録画で観始めて、
途中で、最初から観なおしました・笑。





そこが、タイガー&ドラゴンから発展しているところなのかな。






「父殺し」から「父の介護」へ──『カラマーゾフの兄弟』から読み解くドラマ『俺の家の話』

  https://www.cyzo.com/2021/03/post_269924_entry.html

「さて、あなたは、『俺の家の話』が、上述した『カラマーゾフ』のように進む(寿限無が寿三郎を殺害、後に自死、次男が発狂、無実の長男が冤罪となって実刑判決を受ける泥沼の法廷劇が開始)と予想するだろうか?」




話はそれるが、
俺たちの旅のカースケや島耕作は親の介護はしない。
いつか、介護される彼らが描かれることがあるだろうか。


2007年10月10日

20071010 【ドラマ】 タイガー&ドラゴン #11 子は鎹 再再放送


 
今日、初めて気づきました。
虎二が出所したのは2008年なんですね。
今でも、虎二は獄の中にいるのですね。
不思議な気持ちになりました。

エンドロールの出し方が、
初放映と違うことを指摘しておきます。
1分か2分短くするためなんでしょうか。





タイガー&ドラゴン (全体の感想)

 http://inatt.tokyo/article/479249786.html


2007年10月01日

20071001 【ドラマ】 タイガー&ドラゴン #05 「厩火事」の回 再再放送


 
今日の午前中、再放送されてたようです。
気づかなくて見逃してしまいました。

何度も感想を書いている、この回ですが、
常々書きたくて、書けてなかったことがあります。

何が本当で、何が嘘だったのか、誰が分っていて、誰が分っていなかったのか、
どちらにもとれるようになっているところが、
この回の素晴らしさのひとつですが、

シナリオ本で、クドカンの脚本を読むと、
あまりそのことを意図していなかったのかもと感じるところもあります。

この部分については、
演出(金子文紀)と 古田新太(まるお)の演技が、
そのことを意識したうえでの、素晴らしいものなのだと思います。

テレビドラマの場合、脚本家に光があたり、
宮藤官九郎脚本であれば全ての得点をクドカンが持っていきがちになりますが、

演出や演者の演技力もあいまって、
稀有なドラマが生まれるという実例だと思っています。

いつか、そのことを具体的に書こうと思っていたのですが、
再放送というこの機会に、結論だけ書かせていただきました。

ーーーーーーー

20200611追記

長時間観る連続ドラマにおいては、脚本・演出・演技の他にも、
音楽、劇伴が重要で、
タイガー&ドラゴンは音楽も素晴らしいと思います。
音楽 - 仲西匡 ( wikipediaより)

ーーーーーーーーーー
  
  
1回目の感想
「唐土(もろこし)の孔子」

 
2回目の感想 「麹町の猿」


タイガー&ドラゴン 全体の感想
  
  
タイガー & ドラゴン DVD-BOX
長瀬智也 岡田准一 伊東美咲

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関連商品
タイガー&ドラゴン「三枚起請の回」
木更津キャッツアイ 5巻BOX
池袋ウエストゲートパーク DVD-BOX
木更津キャッツアイ 日本シリーズ
真夜中の弥次さん喜多さん DTS スペシャル・エディション(初回限定生産 おいらとおめぇの弁当箱版)
  
  
タイガー&ドラゴン
宮藤 官九郎

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関連商品
木更津キャッツアイ
宮藤官九郎脚本 池袋ウエストゲートパーク (角川文庫)
タイガー&ドラゴン「三枚起請の回」
タイガー & ドラゴン DVD-BOX
マンハッタンラブストーリー

2006年12月27日

【TV】 吾輩は主婦である DVD下巻

 
第三十四話「みのり」の副音声に、
斉藤由貴、及川光博、磯山晶P、高成麻畝子Dによる音声解説?が
収録されています。

特典映像で、好みのシーンを矢名家のひとたちが語るのですが、
その映像では、斉藤さんより、竹下さんのほうが、
かなり小さく見えました。
本編ではそう見えないので、撮影の工夫なのでしょうか。

特典映像には、クドカンのロングインタビューもあり、
かなり細かい説明をしてました。

2006年11月05日

【TV】 吾輩は主婦である DVD上巻

 
「吾輩は主婦である」のDVDを入手しました。

第1話の副音声に、
斉藤由貴、及川光博、磯山晶P、高成麻畝子Dによる音声解説?が
収録されています。

そこでは、ペ・ヤングンは誰が演じたのか?が明かされています。

みなさん、屈託なく、ほのぼのと話していて、
撮影はとてもよい思い出になっているようです。

ちよこ(竹下景子)が初登場のとき、短パン姿なのですが、
その竹下景子の本気ぐあいが磯山Pは嬉しかったと。
なるほど、そういうところで伝わるのですか。
( 第2回目は長パンでしたけど。)

2006年11月04日

【音楽】 シーサイド・ばいばい (初回限定盤B)(DVD付) [Single] [Limited Edition] 木更津キャッツアイfeat.MCU

 
これでもう終わり特権で、3種類もCDが出ましたが、

ここではビデオクリップDVDがついたものを紹介します。

そのビデオクリップの内容は、

ワールドシリーズのシーンだけでなく、
日本シリーズも、テレビドラマも、出てくるんです。

だから、DVDやビデオを手元に持ってないファンの人には、
とてもお得だと思います。

しかも、シーンが出てくる順番は、
時を遡る形になっていて、
一番最後は、
ぶっさんとアニとオジーが「ビール!」って叫ぶところですから(泣)。

それにしても、
ワールドシリーズしか知らなければ全然分らないわけですし、
この曲の歌詞の内容も含めて、
作り手が少しセンチメンタルに溺れすぎているのではと思いますが、
最後だからとはいえ、
そういう作り方を当然のように普通にやって、
この作品は、たいへん幸せですね。
映画やこの曲、作品そのものというよりも、
その奇跡のようなこのシリーズの在り様に少し感動します。
 
シーサイド・ばいばい (初回限定盤B)(DVD付)
木更津キャッツアイ feat.MCU
B000IFSF72


ーーーー

今(2006/12)、私は、シーサイド・ばいばい (初回限定盤A)に収録された、
KISARAZU Cat’s’n Roll(Better Days Remix)を、iPodに入れて、
よく聴いています。
こちらも、ドラマ・映画の美味しい台詞が沢山聞けるんです。

2006年11月01日

10/31 【TV】 木更津キャッツアイ 第9回(最終回)「俺まだ死ねねえや」

 
冒頭、わざわざアニは、金髪じゃなくなっています。

ーーーー

時々、木更津キャッツアイ 第10話または第10回で、
検索する方がいるようなのですが、
どういうことなのでしょう。
そういう最終話がある、ということでしょうか。

2006年10月31日

10/30 【TV】木更津キャッツアイ 第8回 「俺のハートが盗まれた」

 
最後のカットは、シナリオによれば、数年後ということだそうですが、

ちょっとわかんないですよね。

2006年10月29日

20061029 【映画】 木更津キャッツアイ ワールドシリーズ

 
( ネタばれありです)

公開2日目の日曜日の朝9時に、歌舞伎町の映画館に出かけて観ました。
座りたいところで観られて良かった。

最後まで退屈しない面白い映画でしたが、
ものすごく感動したかというとそうでもない。

ただ、もう2度3度観ても楽しめるだろうな、と思いました。
DVDの発売を待ちます。(笑)


・製作したタイミングが、奇跡的な映画。
 これ以上、後に製作すると、
 キャッツアイたちが本当に大人になってしまうし、
 もっと前なら、皆の演技も別のものになっていたかも。

 櫻井翔(バンビ)は、ちょうど良く大人になっている一方、
 岡田准一(ぶっさん)は、お馬鹿なぶっさんを演じるには、
 大人の渋みが強くなってきていたように思います。

 例えば、
 最後の一球を投げようとするバンビの表情は、
 このドラマシリーズでの彼の集大成になっていました。
 一方、ぶっさんは、
 あまりにも迷いなく、どっしりとした形で、
 スター然とミットを構えていて、少し違和感がありました。

・この映画がどういうお話であるかというと、
 映画パンフレットで、
 宮藤官九郎が、ものすごく分りやすく、説明していたので、
 それが全てだと思います。
 映画そのものは、作り手たちが語るほどには、
 そんなに分りやすくなってないと思いますけど。

 例えば、
 公助(小日向文世)には、
 復活したぶっさん(岡田准一)が見えないのですが、
 それは、公助だけがきちんとぶっさんの死を看取っているから。
 って、それは最後まで観ないと分らないじゃないか。(笑)
 だから、2回目でも、いくつかのシーンで泣けると思う。

・2時間を超える映画なので、
 かなりカットしないとテレビの放映が難しい。
 だから、十分に楽しむには、映画館かDVDじゃないと。


ーーーーーーー

・あえて、この作品の弱点を指摘すると、
 作り手や出演者たちが、
 このシリーズやぶっさんにばいばいすることに、
 迷いがないというところでしょう。

 そのことが演技や演出に、
 迷いや葛藤がなくて深みがないとか、
 ところどころ感傷的になりすぎている部分がある、
 という指摘に繋がるような気がします。

 出演者が、物分り良く、大人になることを理解して、
 その表現が素直すぎるものになっているように思います。
 そのことをキレイに表現しようとして、
 または、終わる、ということを意識しすぎて、
 感傷的になりすぎている部分があるように思います。

 そこをあえて、大人にならない、とあがいたり、
 葛藤したりすることも必要ではないでしょうか。

公式本を読みますと、
 最後の一球を投げる前の演技で、
 5人たちと監督に意見の違いがあったことが
 語られています。
 上記の観点では、私は、
 監督の意見の方が、冷静な判断だったように思いました。
 出演者たちは、キレイに終わることのこだわりに、
 偏った意見になっていたと思いました。
 映画として、どちらが良いのかまでは、
 私にはわかりませんが。

・「ぶっさんと公助の別れ」「オジーの成仏?」
 「4人のぶっさんへの訣別」など、
 物語の核は、そのままでよくて、
 その周辺に、
 大人になることの逡巡や葛藤、
 大人になったということのむなしさ、
 も、あわせて描写するとよかったのではないでしょうか。

 具体的に、と言われると、何も言えないので、
 素人の戯言にしかすぎませんけれども。

 また、そういう風にシリーズを終わらせられたこと、
 そのこと自身が、作り手や出演者にとって、
 奇跡のように幸福なことだと思いました。




木更津キャッツアイ ワールドシリーズ さよならキャッツ★限定版
岡田准一 金子文紀 櫻井翔
B000EHS362