20210525記
「てかさ、これからどうなんだろうなあ
「毎日が選択の連続
「また間違えるかもなあ
「まあ間違えてもここからか
悪い方へ転がるピタゴラスイッチは、自分でなんとか止めて、方向転換させるしかない。
(
ルーブ・ゴールドバーグ・マシン Rube Goldberg machine )
ドラマ「
アンナチュラル」では、
当事者には非のない、不条理に降ってくる死があり、
それを周りの人がどう受け止めるか、という話が多かったが、
本作では、何かのスイッチで進む道を間違える人がいて、
その時が来るまで誰にもわからないスイッチを
周りの人がそれを止めることはできなかったのか、
に焦点があたっている。
そして、
「人を救う、人に救われる」という他者への働きかけだけでなく、
分岐点に立ったとき、
自らが正しいほうのスイッチを入れる、
ということが描かれているのかなと思っています。
・違法ドラッグに手を出さない
・闇カジノに出入りしない
・闇カジノ主催者の誘いに乗らない
・人の携帯は覗き見しない
・逮捕より人命救助を優先する
また、
父の子供へのモラハラが、子供の衝動的な犯罪の引き金になったり、
ほんの遊び心であっても、
虚偽通報が妊婦搬送を遅らせ胎児死亡を招くこともある、
という想像力の大事さ。
【女性の機動捜査隊隊長】
チームのリーダーが、
大昔の石原裕次郎、渡哲也のような男性でなく、
また、5年前なら生瀬勝久だったかもしれませんが、
そういう一癖あるタイプでもなく、
15年前は妄想癖のある交通課婦警だった女性(時効警察)が、
とは冗談ですが、
違和感なく普通に、
女性隊長が、男性捜査官に指示を出しています。
あと5年、10年したら、それの何が気になるの?
ということになるかもしれませんが、
なおのこと覚書しておきます。
女性の隊長というのは、なんとなくではない設定なのかなと思います。
女性だからといって、特別なことがあるわけではない、
という表明なのではないでしょうか。
【反社の扱い】
昔のドラマでは、
やくざや暴力団を、
不遇な、世の中に居場所のない人の
やむを得ずたどりつくところとして、
消極的に認めていることがありました。
タイガー&ドラゴン ( 2005年 )とか。
しかし、本作では、
久住の立ち位置は、
金で暴力団を利用することで成立しており、
また、
青池透子の不幸は、
正規のルートで暴力団の協力企業に
そうとは知らず勤めてしまったこと。
反社会的勢力は、
(当たり前ですが)
絶対的に否定される存在として描かれていると思います。
【各回の感想】
■第1話「分岐点」
404エラーの説明
■第3話「分岐点」
逃げるか、来るか、今決めろ
■第4話「ミリオンダラー・ガール」
「賭けてみます。今まで勝ったことないけど」
美村里江の名演。
根拠はありませんが、
美村さんは、撮影中止前に台本を受け取っていて、
自粛期間中ずっとこの役と向き合っていたのかもしれません。
「透子」という珍しい名前にも意味が与えられているかも。
事件の発生は、2019年5月17日金曜日。
「多い方をとって助けたはずの青池透子が再び道をはずれたんだとしたら、どうしてそうなったのか、知る義務がある
「土壇場で分かるよな、そいつがどんな奴か。
「兎ってさあ、追いつめられると、狼も真っ青な強烈なキック繰り出すんだって
(アイコンが兎の呟き)
最後にひとつだけ
わたしが助ける
自由になれる
そんなの嘘だ
逃げられない何もできない
弱くてちっぽけな小さな女の子
誰が決めたの
つまらない人生
もう死ぬみたい
私の頭が勝手に思い出したことですが、
レベッカのボトムラインという曲。
「Keep the Bottom Line
くいしばるひざを ゆるめりゃ
自由になれちゃう この街はdanger
Keep the Bottom Line
いつだって ギリギリのすまし顔だけど
本当の愛も知ってる」
街はいつの時代も危険だけど、
いきつくところに対する楽観度の残り具合が、
1980年代と2020年の違いかもしれない。
■第5話「夢の島」
技能実習生監理団体の喜多は、坂東彌十郎
やったばい
■第6話「リフレイン」
一個、一個、一個がスイッチで。
あれから、何度も、何度も、何度も、
天使のラッパ
■第7話「現在地」
俺はラッキーだったな
家出少女ふたりは、
アンナチュラル第2話の花とミケが救われた形、
という意見を見て、
なるほどそうだなとほっとした気持ちになりました。
■第8話「君の笑顔」
「君の笑顔」とは蒲郡が思い出せない妻の笑顔?
事故の事を覚えてないよね、と伊吹に問われたときの、
蒲郡(小日向文世)の笑みにはぞくっとしました。
志摩は、
「お前にできることは何もなかった、何もだ」
と言われた男を相棒にした。
主人公がお互いをバディと認めるまでに8話もつかって物語を構築しています。
■第9話「或る一人の死」
・誘惑にかられながらも、人の携帯を覗き見しない、というところが印象的でした。
■第10話
・「死んだやつには勝てないって言ってたけど、
それ、違うよ、
生きていりゃあ、
何回でも勝つチャンスがある」
・大層な手順で盗聴器をしかけた暴力団。
メールひとつでパソコンを乗っ取った久住。
・虚偽通報とフェイク動画で、
実際に警察を混乱させることができるのか、
何人協力者が必要なのか、
興味深い。
本物の警察はそこまで脆弱じゃないと思いたいですが。
■第11話「 ゼロ」
ネットにも自浄作用がある?
また会おう@shinnzirukimochi
人生やり直し中@katsubsrk28mata
スウ@love_babymetal06
ジュリ@juricospre
飛田@demae_tobita105
2019年10月15日 13:30 50
2019年10月16日 00:00 00
2019年10月16日 00:00 00
2019年10月16日 00:00 00
2020年7月24日
2019年10月15日 15:00
久住のバックドア
( 山辺唯継、堂島静軒くらい物語上オールマイティかも )
「お前達の物語にはならない」
敵役の捨て台詞ではない、重要な主張のように響きました。
題名のゼロとは、
オリンピックはなくなり、
コロナでいろんなものが変わり、
あなたはどちらへ向かいますか?
と問いたいのかどうか。
スイッチは自分で選ぶ。
人に選ばせてはならない。
でも、志摩は揺れ動いている。
「なあ志摩ちゃん、刑事やめたりしないよな」
(バディものでありながら、
主人公が相棒に判断を委ねたことを
心の奥で悔やんでいるという描写に
冷やりとします)
(虚偽通報で生まれなかった命もあったが、
起訴可能な法律上の罪では、久住は、割とすぐに刑務所から出てくるのでは?)
(お前達の物語にはならない、とは蒲郡も考えていることなのかも。
また、「宮崎」「酒鬼薔薇」も連想する。
久住や彼らをワイドショー的に消費しても意味のあることにはならない)
ゼロという題名は、
ゼロから小さな正義を積み重ねる、
という意味だったのでしょうか。
小さな正義から小さな救いが生まれ、
伊吹と志摩のこれまでの行動が、
SNSを通じて、
メロンパン号のデマを消すのに役立った。
「てかさ、これからどうなんだろうなあ
「毎日が選択の連続
「また間違えるかもなあ
「まあ間違えてもここからか
虐げられているマイノリティの存在など、
世の中の暗い部分から目をそらさないが、
あくまでも
エンターテイメントとして
前向きに終わらせる
作り手の意識を感じました。
・機捜うどんからはじまる奇跡のピタゴラ装置
・「俺たちと、ここで苦しめ」とは、
ルールを守り、他者を尊重するという同じ土俵で、ということかしらん。
・2019年10月15日とか何してたかな、と自分のスケジュールを再確認してしまった。
メケメケフェレットが俺と組まへん?と囁いてくるのは、2019年10月16日0時
九重がメールを発信したのは、2019年10月15日15時5分
・撮影が中断され、放映期間・回数も変わることにより、ストーリーがどのように追加・変更されたのか興味深い。
(ドラマ「フェイクニュース」)
なかったことのようになっているのが残念なNHKのドラマ、
「
フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話」を思い出しました。
2018年放送のドラマですが、
MIU404では、
さらに進んで、
確かにどこか遠くの戦争の話ではないことが描かれていたと思いました。
これはまた別の話ですが、
野木さんは、
ドラマの筋書き上不幸な巡り合わせに終わらせた登場人物に対して、
「
〇〇に幸あれ」と呟くことがあります。
重版出来の梨音、
コタキ兄弟の手鞠、
など。
ツイートの記録
↓これが当たっていたら凄い。確かにこの脚本では登場人物は物語上無意味な動きはしない。
【国立競技場】
最終回放送は、2020年9月4日(金)でしたが、
たまたま、9月3日の朝、
国立競技場の周りを歩きました。
(という、個人的な覚書)
20220830追記
メロンパン号を観に、国立競技場へ行きました。
思ったより沢山の人がいて驚きました。
【銀座の裏通り】
青池透子が逃げ回った銀座の裏道、
弱くてちっぽけな小さな女の子を見つけた路地。
(と、私が思っている場所)の写真
(
新橋跡の親柱 20230401ブラタモリ・汐留で登場 )
【主人公の名前の話・一未、藍、ゼロ】
私は、数学が得意ではありませんが、
(話題になったのは、「虚数のiは1未満」という言い方)
「実数の軸と虚数の軸はゼロ/0で交差する」という説明を見て、腹に落ちました。
1未満とか、虚数と同じく、脚本家は最初から「ゼロ」を意識していたのかどうか。
タイムラインが沸いてしまったのは、
まさしく、このドラマで描いたことが現実に起きるという証明になった・笑。
アンナチュラルの感想
http://inatt.tokyo/article/458024514.html