偉大なるワインは、偉大な美術品と同じなのを知らんのか
細心の注意をもって、保存すべきなのに
細心の注意をもって、保存すべきなのに
コロンボシリーズで傑作の誉れが高い作品。( imdb )
NHKBSプレミアムの「刑事コロンボ ベスト20〜あなたが選ぶ!思い出のコロンボ〜」
で、ファン投票1位でした。(2018年11月)
ピーターフォークもfavoriteだったらしい。
この先も、人気投票すれば(日本では)いつも本作が1位になるように思います。
( 私は「忘れられたスター」に投票します・笑 )
・犯罪が暴かれなくとも報いを受けている犯人に感情移入する
(Donald Pleasenceの吹き替え(中村俊一)が元の声よりも少し気の弱さを感じさせるのがよい)
(事が決着したとき目を潤ませる犯人はコロンボでは珍しい)
客観的にみて、事件はまだ証拠不十分、
真夜中に、それもわざわざ海岸へ、あわてて証拠隠滅に動く必要などないのです・笑
おそらく、自らの行いで駄目にしてしまった美術品をそのまま手元に置いておくことが
耐えられなかったのかもしれない・哀
犯人は、
( カレンの行動も含め )
自分の為した悪行の報いに、気持ち的にオチている。
視聴者はその心持ちに共振しているのです。
・コロンボが犯人を(珍しく)尊重し、気持ちを慮っている
(犯人が褒めたコロンボの努力も、
コロンボにとってはあくまでも犯人逮捕のためにしたことであり、
コロンボ自身もそこを褒めてもらったと受け取っていると思いますが、
コロンボと犯人が心を通わせたように見えること自体が珍しい。)
・印象的な秘書のカレンさん(Julie Harris)
・NHK初放送時(1974年)の日本では一般的でなかったワインの蘊蓄が興味ぶかい
( この頃は、日本酒を冷蔵庫に保存するようなこともあまり目にしなかったと思う )
( 「美味しんぼ」第4巻(1985年初版)「酒の効用」で、
大新聞社のフランス駐在経験のある小泉編集局長は自宅にカーヴを持っている。
山岡は温度管理をしていない店頭に日本酒を置きっぱなしにしている酒屋を批判する。)
そのようなところ、
謎解きの展開も無駄のない秀逸な脚本だと思いますが、
論理だけでなく感情からも観る人に働きかける、
コロンボシリーズの中でも味わいが深い回。
初放映時、子どもの頃に観て、
その含みを受け取ることができたのか、
初めてコロンボが面白いと感じたという記憶がある回です。
子どもにもエイドリアンの心情が伝わったのだから、やっぱり名作。
(カレンさんの怖さが分かったのは大人になってから・笑)
でも、今の私は、
エイドリアン・カッシーニという人物に魅力を感じない。
彼は、
ペダンチックで見栄っ張りの鼻もちならない、
経営者としてもそれほどでもない人物に見えるし、
カレンさんに対する態度の変化も利己的な内面性を感じます。
殺害方法も発端は衝動的ながら、
かなり残酷といえるもの。(*1)
また、
コロンボも、
いつもどおり最初から犯人に目をつけているし、
火曜日の天気を知って口笛吹いてるし、
ワインの一夜漬け勉強は犯人の懐に入り込むためだし、
(犯人と一流レストランで会食するところまで持ち込まないといけない)
捜査のためなら窃盗するし、
エイドリアンがそれをチクったらやっぱり問題だろうから、
犯人に優しい。
( 「上司に告げ口されたら首ですからねえ」
所有物を盗まれているんだから、
エイドリアンさん、告げ口してもいいと思うけど・笑 )
ああ、興醒めなこと言ってごめんなさい。
ただ、
犯人を突き止めるために、
容疑者の最も得意とするものに
容疑者が認めるほどに詳しくなり、
そのことを使って、
犯人を逮捕する。
それを容疑者自身から褒められるのは、
コロンボにとって
このうえない誉れである。
また、カッシーニ氏としても、
自分が人生を賭けたものを
コロンボが深く学び、
カッシーニ自身のそれに対する深い知識、高い能力に
敬意を表した(とカッシーニ氏が思っている)形で、
犯罪が明らかにされたことに
満足したのである。
■「つまらない理由で結婚する人はたくさんいるわ」
#刑事コロンボ (19) 別れのワイン 、
— inatt (@inatt) August 6, 2020
「つまらない理由で結婚する人はたくさんいるわ」
私には、
「あなたはつまらない理由で人を殺したのよ」
に聞こえる。
このあたりの、
エイドリアンやカレンの台詞について、
原語と翻訳では
微妙な相違があり、大変興味深い。
「愛情は強制によって生まれるもんじゃないよ、カレン
「たぶんそうね、でも愛がなくても結婚はできるわ
「つまらない理由で結婚する人はたくさんいるわ
You can’t force me into loving you,Karen.
Maybe not. (But) you don’t have to love me to marry me.
Lots of marriages have been built on much less.
カレンの発言、
原語は、愛情の有無の話ですが、
翻訳は、結婚する理由の話になっています。
私は、
カレンのふるまいや発言の内面について、
「つまらない」という原語には登場しない表現を用いた、
翻訳のほうが、より想像が膨らみます。
そして、この翻訳が勝手な一人よがりでもないことには、
「刑務所は結婚より自由かもしれませんな
I guess ,freedom is a purely relative.
最後に、エイドリアンは、原語・翻訳とも、
偽りの結婚をしない「理由」を語っている。
この回が備えている趣をさらに膨らませている吹き替え版だなと感じ入ります。
■モンテフィアスコーネ
モンテフィスコーネ、最高のデザートワインだ
お気に召して、よかった
それに、別れの宴にも、ふさわしい
カキにモーセル、
肉には、ジンファンデル
フェリエヴィンテージポルト、1945年の。
(モーゼル、Ferreira Vintage Port、フェレイラ・ヴィンテージ・ポート)
52年のシャトウ・イ・クイエム ( シャトー・ディケムの52年はないらしい Château d'Yquem )
(20220906記)
伊勢丹新宿店の酒売り場に絶大なる信頼を寄せている件#漫画が読めるハッシュタグ #エッセイ漫画 #刑事コロンボ #別れのワイン
— オチョのうつつ (@ochonoutsutsu) September 3, 2022
私の一番好きなエピソードは「2枚のドガの絵」で、夫は「忘れられたスター」です。 pic.twitter.com/FYdeOSK7JB
たぶん、伊勢丹新宿ワイン売り場の店員さんも本気で感謝している、素敵なお話。
( 「ホント、ダメ元なので、ナイならナイで全然OKです」
「なんかホント、すいません、あればでかまいませんので」
「本当ムリ言ってすいません」
とか言いながら、依頼するとこ、ホント共感する・笑
言っていることは本心なんだけど、
それが本当に欲しいからこそ、
わざわざ足を運んで、恥ずかしがりながらも依頼してる。
そして親切な店員さんのおかげで入手できたときの感激と嬉しさ。
ここから先は私の勝手な妄想ですが、
店員さんのほうも、
ワイン売り場を担当して、
ワインの知識を深めることに熱心な店員さんは、
2010年頃の出来事だそうなので、
TSUTAYAかどこかでDVDを入手し、
おそらく、勤務時間外に、自宅で、
初めてのコロンボを観る。
ワインに興味があれば、
本作はとても面白いに決まってる。
作品に魅せられ、
自分の知識のためにも
お客さんの要望に応えるためにも
ワインの銘柄を調べ、
お客さんを満足させ、
自らも素晴らしい職業上の経験を得た。
「別れのワイン」というドラマから生まれたエピソードを描いた
「別れないワイン」という題名も好い・笑 )
エスト!エスト!!エスト!!!ディ・モンテフィアスコーネ
モンテフィアスコーネとESTにまつわる逸話 ローマ皇帝ハインリヒ五世 司教ヨハネス・デフック
■小説版 ( 横溝正史の予言 )
二見書房の小説版(昭和49年11月30日初版)より
(*1)リックの死体
『床の上には、一週間前とほとんど同じ姿勢でリックが倒れていた。苦しんだ様子もなく、縛ったロープもゆるんでいない。失神したままで窒息死したのだろう。死後硬直も解けている。おそらくそんなに死を意識することもなかったに相違ない。』
程なく正気に戻っていたら、恐ろしい目にあっていたということ。
巻末に「コロンボ談義(3)」として、
横溝正史と石上三登志の対談が収録されていて、
大変興味深い話がいくつもあった。
対談が行われたのは、角川映画「犬神家の一族」(昭和51年)が創られる少し前、
書店店頭に多くの横溝著作角川文庫が並び始めた頃でしょうか。
(ブームの頃、町の書店でも文庫コーナーには
横溝作品が幅1メートルほども平積みされていたことがありましたね。)
(対談時に、横溝は既に70歳を超えていますが、
大ブームは、きざしが見え始めたか、まだこれからです。
当書籍が1974年(昭和49年)、
ATGの本陣殺人事件(監督高林陽一、音楽は大林宣彦)が1975年(昭和50年)9月公開、
病院坂の首縊りの家の連載開始も昭和50年、
映画「犬神家の一族」が昭和51年)
石上「金田一耕助の映画は以前あったんですが、最近映画化の話はないんですか。」
横溝「ないですね」
石上は、自分が映画監督だったら「獄門島」を映画にしてみたいと言い、
石坂金田一が生まれる前に、
金田一は、かつての片岡千恵蔵ではなく、
コロンボみたいなタイプの俳優がよいと指摘しています。
・倒叙推理ものの特徴
誰が犯人か、という手法では、犯人の気持ちをはっきり出せない。
倒叙推理ものは、犯人の性格を描写できるところがうらやましい。(横溝)
(倒叙ものは、犯人こそ、主役なんですね)
・倒叙推理ものと1時間余りのテレビ番組との好相性
謎解きでは、最後のなぜ犯罪をしたか納得させる説明と事前の伏線配置が難しい。
(それなりの尺と工夫が必要)
映像作品では、重要な役はスターがやるのだから、配役から犯人を推測できてしまう。
(したがって、倒叙もの1時間1話完結でスターが犯人を演じるスタイルは、
テレビドラマシリーズに向いている。)
(市川監督金田一映画のことを思い出します。
まさしく、配役で犯人がわかると言われましたし、
それを逆手にとった作品(女王蜂)もありました。)
・探偵/警察官は私生活をみせず、
観る人がイメージを膨らませて、
親近感を持たせることがシリーズものの原則(石上)
( コロンボ、古畑の私生活はそのとおりですね。
横溝は、金田一に緑ヶ丘荘の探偵事務所を設定したことを悔いていました・笑
私は昔、福家警部補がどんな人か全然わからないと感想を書いたことがありましたが、浅い考えでした・笑。ただ、映像作品にする際は、シリーズものの主要人物としてどんな特性をもたせるかは大変重要になる。)
・シャーロキアンと同じようなファンがコロンボにも出てくると1974年時点で横溝は断言しています。
■DVD
刑事コロンボ各回の覚書
http://inatt.tokyo/article/475671325.html
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