2022年12月21日

【ドラマ】 刑事コロンボ Columbo 奇妙な助っ人 Strange Bedfellows



逮捕しなきゃ、俺がやる
まず、あんたにやらせてやる
少しは待つが、長くは待たんぞ
逮捕できなければ、俺流にやる





( https://www.imdb.com/title/tt0112705/ )

刑事コロンボ第65作目

新シリーズ作品は、
旧シリーズと比べて人気・評価ともに劣っている傾向がありますが、

私は、この回が結構好きなんです。

フォテーリがお気に入りになったのだと思います。


( 世間の評価が高くないのは、

  シリアスとユーモアの加減と切り替えが

  それほどうまくはできていないからでしょう。

  フォテーリ役は

  清濁まるごとたくさん飲みこめる(ことがわかる)

  かつ、イタリア系には温かい、

  懐の大きい深い複雑な人物を演じなければならないし、

  マクベイ役は

  肉親と他人、二人も躊躇せず射殺することと、

  マフィアの親分に狙われて気圧されること、

  両方を演じなければならない難しさがある。

  普段は落ち着いていて傲慢な態度だけど、

  最後は小心な根を見せるところを、

  パトリック・マクグーハンジャック・キャシディのような

  柄の役者さんが演じると意外と面白いような気がしています。 )



本作を私は以下のように解釈しています。


コロンボは、マフィアとして有名な人を前にして、
意図して、イタリア語がわからないふりをした。

( コロンボがイタリア語を話したのは、
  「仮面の男」、「美食の報酬」、「大当たりの死」だそうです。
  Wikipediaより )


決め手となる証拠、銃を見つけるために、
コロンボからフォテーリに協力を依頼して、
ひと芝居売った。

( つまり、
  警官がマフィアにもちかけ、
  容疑者を脅迫し、
  凶器の場所を自白させた、
  というとんでもない捜査手法なんですが、
  ドラマとして、
  視聴者がネガティブな感想を持たないように
  作り手が気を付けているところを感じます。 )

コロンボは、
フォテーリがいつ自分で手を下すかわからないと懸念し、
それではコロンボ自身の職責を果たせないので、
手を組むかたちで
フォテーリの動きに釘をさした。

フォテーリは、
イタリア系としての親しみもあり、
コロンボに協力してやったが、
( 最初から、逮捕できるならそれでよいと言っている )
見返りを期待していたわけではないにせよ、
マクベイを逮捕できたとたんのコロンボの冷たい態度に、
憤懣やる方ない。

( コロンボって、
  自分が犯人を捕まえる、
  そのために、手段を選ばない、情で動かない、
  そういう人だと私は思っています。

  今回もフォテーリの望みに
  シンパシー、エンパシーをもっているわけではなくて、
  マフィアのメンツや利益のための仕返しなど
  とんでもなく、
  その前に殺人者を逮捕することに手管をかける

  視聴者の私は、
  マフィアの凄みや
  マクベイへのお芝居や
  コロンボへの親しみが拒否されるむかつきなど、
  ドラマ・コロンボの登場人物として、フォテーリに好感を持ち、
  この回が好き・笑 )

そのようにみると、
フォテーリの芝居がかったマフィアボスぶりが面白い。

( フォテーリは、最初に登場したときと、
  そのあとでは、雰囲気が変わっていると思う。
  最初の彼の自宅での紳士然とした態度が彼の素だと思う。

  よくある、ヤクザやギャングの描写にあるような、
  表が紳士で、裏がこわもて、ではなく、
  フォテーリは
  素は紳士的で、演技で荒ぶってみせた、
  と私は解釈して、
  それを楽しんでいます。 )

また、
どこからが、お芝居なのか、と考えながら観る楽しみがありますが、

フォテーリの手下は実は警官であった、という仮説にたつと、

( コロンボを拉致して
  フォテーリのもとへ連れていった二人は、
  後半、フォテーリが従えている部下二人とは別人。
  最後のレストランのシーンで
  フォテーリに抗議するコロンボを押さえた男は、
  いかにもイタリアイケメン風で、
  フォテーリからアンジェロ( Angelo Friselli ?)と呼ばれており、
  フォテーリに指示され部屋から退出した。
  もうひとりの男は、
  ラストシーンで
  バーンスティーン(ユダヤ系?バーンスタイン Bernstein)と名乗った男で、
  フォテーリの指示では部屋から出ず、
  フォテーリがマクベイを殴ったとき、
  マクベイのかたわらに立っていたが、
  最終的にマクベイをとりおさえる役割をこころえ、
  彼が行き過ぎた暴力を受けないよう傍にいたように思える。
  自白したマクベイを外に連行したのは彼。
  「コロンボが彼に
   "Nice work, Officer..."
   と話しかけたので、
   バーンスティーンは警官だ」という説を見た。
  ふたりの男とコロンボのこの部分の会話は、
  Nice work,Friselli.   ( よーくやってくれたねえ )
  Thank you,Lieutenant. ( ありがとうございます )
  Nice work,Officer...   ( 君もよかったよ、えー... )
  なので、
  私は、
  アンジェロはフォテーリの手下で、
  一方、バーンスティーンは警官で、

  ( イタリア系じゃないのに、この任務になったの?ということ )

  手を組んだフォテーリとコロンボが
  双方から人を出して、
  牽制体制をとっているのではないかと
  根拠なく妄想している・笑

  吹き替えでは
  アンジェロに対して「よくやってくれたね」
  バーンスティーンに対しては「君「も」よかったよ」
  なので、そういうことを踏まえての翻訳だと思っています。
  )

フォテーリが
マクベイの家を訪れたところから、

アンジェロとバーンスティーンが登場するので、

ここからお芝居ということになり、

自宅のときよりカジュアルな服装のフォテーリは
十分に役を楽しんでいるようにもみえる・笑


ただ、ストーリーの細かなツッコミどころはいくつもあって、

・「訴訟手続き上の問題で釈放なんかになったりしたら」
とは
原語では、
I think what he's saying, Mr. McVeigh,
is if you get some fancy lawyer...
to save you on a technicality,
he won't be saving you.
で、
弁護士使ってうまいことやったりしたら、
わかってるよな、

( 吹き替えでは、
  「ヤルってことですね?」
  とここは直截的・笑 )


フォテーリ、コロンボふたりで
フォテーリの農場?のっとりの脅迫や
コロンボの捜査手法などの口封じも含め、
マクベイをしっかり脅してます・笑

( 無言で頷くマクベイ・笑 )

とか、

・ボンゴレと名のついた料理にクラムが使われていると、
 いつもはメキシコ料理(チリコンカーン)ばっかり食べてるとしたって、
 イタリア系であるコロンボが察することができないとは思えない
 ( 70年代の子供の私にはわからないが、
   ファミレスなどで
   イタリア料理が日本中に広まったあとの、
   90年代の私には判る・笑 )
・マフィアと連携しなければ逮捕できないほど捜査が手づまりとも思えない
・手下に扮した警官に車を接触させるほどのあおり運転をさせたり、
 マクベイを殴ったりコロンボに乱暴を働いたりさせた。
・バーンスティーン警官説にたつと、
 マフィアと連係した活動は、
 コロンボ以外のロス警察管理職が了解していることになるし、
 ブリンドル刑事ほか、多くの警察職員を、
 マフィアもからめて容疑者を不当に圧迫することに加担させている

などの問題点があらわれます。


なので、
以上の解釈は私個人の好みによるものです。



【フォテーリに同情する私・笑】

最後の場面、
マクベイはレストランの入り口の電話から
コロンボに連絡しようとするが、
out of order」のメモが貼り付けられていて、
使うことができない。
だが、
コロンボは急に呼び出されたはずなのに、
迷うことなくメモをはずして、
その電話を使った。
つまり、
綿密に準備した、しめしあわせての行動ということになる。

フォテーリのほうから、
そんな面倒をやる趣味も動機もないので、
すべてはコロンボから持ち掛けたシナリオと考えられる。

そうしないと、
フォテーリがマクベイを消してしまうかもしれないと
コロンボは懸念したと考えています。

協働するにしても、
警察官がマフィアと連係したと知られないように
細心の注意が必要だ。
イタリア系だからこそ、
マフィアがらみはもとから気をつけているのだろう。
イタリア語が話せない、
「まるっきり駄目なんです」とは
そういうコロンボの意思表明だ。

それでも、
フォテーリはマクベイが名前を聞いただけでビビるほどの
有名人のようだし、
フォテーリもコロンボのことは
イタリア系世間の噂か、警察内部情報か、もとから知っているのだろう。


フォテーリ「あんたの偉大な知性と忍耐力はつとに聞き及んどる」

 ( とぼけても、あんたのことは知ってるよ )

コロンボ「そちらのも聞き及んでます」

 ( こっちだって、あなたの組織の行状はよく把握しています )


最後のやりとり、

うまくいかなかったら手を下しましたかの質問を
( Would you have killed McVeigh? )
フォテーリは、はぐらかし、

コロンボは、
芝居が上手くいったから少し機嫌のよさげなフォテーリから
一杯奢ろうと誘われても、
きっぱり断り、

It's just that
I'm a cream soda type guy. ( かみさんの豆のスープがいい )
And you're not.      ( あんたは違う )

コロンボは
私はあなたとは違う、とはっきり伝えます。

( ”a cream soda type guy"
  も
  吹替えの「豆料理が好き」
  も
 「マフィア」「イタリア系」を否定している趣のある台詞だと
 思います )


Okey
とフォテーリはちょっと暗い顔で残念そう。


イタリア系同士の親しみより、
俺は警官であんたはマフィアだ、と
突け放す言われよう。

私は多分に、フォテーリに同情する・笑


最後の、

「チャオ」
「イタリア語でさよならですね?」( That's Italian for goodbye? )
「そうだよ、元気でな」
「チャオ」

のやりとり、

フォテーリの「チャオ」には、
「(でも、俺たち同じイタリア系だろ?)」
という感情を感じるんです。
コロンボの捜査に協力した理由の一番真ん中の感情。

それなのに、
そういう気持ちが含まれた言葉を
無感情にスルーされるような返しをされて、

「そうだよ、元気でな」は、

原語は、"Get out of here. Take care."

で、いつまでとぼけてんだと、

フォテーリは虚しくむかっ腹なのだと思います・笑


そして、コロンボは苦笑。

( 本気でチャオがさよならだと知らないわけではなく、
  あえての返答だということ )


つまり、このやりとりは、

「じゃあな」
「それってもうこれきりってことでしょ」
「(うるせえな、もう、お前とは関わりたくない。)
 もう行きな。...だが達者でな」
「そちらも」

というやりとりで、

今回の協力体制はふたりとも忘れて、

このあとは、お互い知らない同士だということ。


そんな風に、
ドラマとして、
私はこの作品を楽しめています。





■諸々


・「バースタ、バースタ(basta,basta)」(やめた、やめた)?

・ペリグリーノ(サンペレグリノ・イタリアの発砲水)

・ズッペ・ド・ボンゴレ(clamのスープ)

・パスタ・ポモドーロ(トマトソーススパゲッティ)









They don't pay me enough for this kind of stuff.
をDeepLが、
こんなことでは給料が上がらないよ
と訳した。



ディアゴスティーニのDVDコレクションについていた冊子、
薄い冊子でも、
良心的な記事ばっかりでとても好かった。





刑事コロンボ 各話の感想

 http://inatt.tokyo/article/475671325.html



ラベル:#コロンボ
posted by inatt at 21:31| Comment(0) | ・感想など・TVドラマ・海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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